1月15日に発表された第152回芥川賞、直木賞。芥川賞には小野正嗣の「九年前の祈り」(「群像」9月号/講談社)が、直木賞には西加奈子の『サラバ!』(小学館)がそれぞれ選ばれた。とはいえ、受賞作の売り上げもかつてほどはのびず、その話題性、影響力は年を追うごとに低下。とくに芥川賞のほうはかなり地味になっているのは否めない。 そんな芥川賞だが、今回受賞者の小野以上に大暴れしている作家がいる。小野とおなじく今回の芥川賞候補にノミネートされていた小谷野敦だ。小谷野といえば“非モテ語りブーム”の元祖である評論『もてない男』が有名だが、近年は小説も発表している。芥川賞の候補となるのも2010年「母子寮前」で初ノミネートされたのに続き、2回目。今回は自身の父親を描いた私小説「ヌエのいた家」(「文學界」9月号/文藝春秋)で候補に選ばれるも、残念ながら落選に終わった。 結果が発表された15日の夜から数日間に渡