哲学者のヴィトゲンシュタインは、統合失調症に近い精神状態をしばしば体験したかもしれませんし、物理学者のニュートン、詩人ヘルダーリンなどもそのように言われています。別の哲学者バートランド・ラッセルの生涯を描いた漫画「ロジコミックス」には、哲学者や論理学者やその周辺には、統合失調症者が明らかに多いと書かれています。現に、ラッセルの子供を含めた近縁には、少なくとも数人の統合失調症患者がいます。 それでは、哲学者と統合失調症患者にはどのような共通点があるのでしょうか? 生物学的に見れば、何らかの共通する遺伝子の発現と言うことになるのでしょう。でも、ここでは、精神病理学的に検討します。 まず最初に、精神医学者のブランケンブルグが書いた「自明性の喪失」(1971)をみてみましょう。 20歳の店員アンネ・ラウは、市販の睡眠薬を70錠飲んで、1964年10月14日に、ドイツのブランケンブルグの働く病院に入
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