"Tangible"とは「触れて知覚できる」こと。現在研究開発されているインタフェースの多くが、この"Tangible"と言う概念を取り入れている。この傾向を裏返せば、今の世の中があまりに「非Tangible」になりすぎた、と言うことだろう。 例えば、財布。昔は、財布が重い時はお金があり、財布が軽ければお金がない、と言うことを「知覚」できた。今夜飲みに行くかどうかと言う決断と、財布の重さは無意識下で一致していて、それが、人間の活動における自然な心地よさを与えてくれていたのだ(お金がない、と言う心地悪さとは別の次元で)。しかし今は、コンビニでもクレジットカードを使える時代。お金は遠くの銀行にあってその実体を知覚することはなく、手元にあるクレジットカードの外観は、預金の多少とはまったく関わりない、一枚の薄っぺらなプラスチーックカードだ。(注:正確に言うと、現代は、お金と言う実体はもはや銀行にも