能登半島地震で大半の商業施設が臨時休業を余儀なくされる中、1月2日から予定通り営業した店があった。中部地方を中心に413店舗を展開するドラッグストア「ゲンキー」(本社・福井県坂井市)。それも奥能登4市町にある6店すべて。停電、断水、通信不通-。何よりも従業員自身が被災者だった。あの時、従業員はどう動いたのか。 元日はゲンキー全店にとって、1年で唯一の休業日。石川県輪島市中心部にある河井店の店長(当時)、長屋俊樹さん(38)は実家のある岐阜県関市に帰省せず、輪島の社宅で静かな正月を過ごしていた。大きな揺れで5階にある部屋の中はぐちゃぐちゃになり、1階駐車場の車は建物に挟まって動かなくなった。 大津波警報を受けて高台にある航空自衛隊輪島分屯基地に向かった。千人ほどの避難者であふれ返り、建物内は危険なため、屋外で寒さに震えていた。異様な光景を目の当たりにし、避難者に配る水や食料品、紙おむつなどの
