私は、両親が教育者であったこともあり、厳格な過程で育ちました。 母の同級生がピアノの先生ということから、3歳からピアノを習い始め、高校3年生までの16年間弾き続けました。 母はクラシック音楽が大好きで、ショパンやモーツァルトやバッハなどを幼い私と2学年年下の弟が寝入る前に必ずレコードで聴かせました。その時間が退屈で仕方なく、母の好みをすんなりと受け容れることはできませんでした。 毎春、ピアノの発表会があり、その直前になると、母が厳しく練習時間を管理するのですが、そのことが嫌でたまりませんでした。 大学進学を機に実家を出て、ピアノともおさらばできたとせいせいした気分でいたのですが、いつの頃からか、再びピアノの音色が懐かしくなり、あの音色に触れたいと思い始めました。 今では、クラシックから現代音楽まで、ピアノをフィーチャーした曲を多く聴きます。その度に、母やピアノの先生に思いを馳せるのです。