週刊ダイヤモンドの経済学特集で「経済学の古典10冊」を選んだのだが、いちばん困ったのが新古典派の古典だ。もちろんワルラスやマーシャルもあるが、いま読んでおもしろい本ではない。普通ならヒックスの『価値と資本』だろうが、このリストではあえて絶版のKoopmans, "Three Essays on the State of Economic Science"を選んだ。 経済学を系統的に学んだ人とそうでない人の最大の違いは、経済システムを資源配分メカニズムと考えるどうかだと思う。普通の人は市場を「金もうけのしくみ」と考えるが、新古典派の標準的な理論には貨幣は出てこない。また均衡状態では利潤はゼロで、誰ももうからない。市場メカニズムは主観的には利潤追求のしくみだが、結果的にはそれが「見えざる手」によって効率的な資源配分を実現するのだ。 このアダム・スミスの言明は神秘的で証明されてもいないが、そ