70年代オカルトブームにおける「座敷童子」 本年最初のテーマはご存知「座敷童子」である。「富をもたらす福の神」といったイメージで語られることも多いので、一応は年頭にふさわしい「おめでたいネタ」だと言えるかも知れない。次回の後編では少々不穏な展開になる予定だが、波乱の年明けとなってしまった今年最初の本稿では、できるだけ縁起の悪い話は避けつつ論を進めていきたいと思う。 「座敷童子」については、これまで全国規模の大きなブームが二度起こっている。その最初が明治末期。20世紀初頭の欧米におけるオカルトブームが我が国にも波及した時期に重なる。これについては後篇で詳述するが、この第一次ブームのときは主に民俗学者や文学者の間で「座敷童子」が考察の対象としてトレンドとなり、これによってローカルな伝承の主人公が全国的な知名度を得たといわれている。 二度目は本連載が主題としている70年代オカルトブーム期だ。昭和