阪神、巨人の両ファンによる乱闘の様子=兵庫県西宮市の阪神甲子園球場で2021年7月9日午後7時15分ごろ(読者提供) 阪神甲子園球場に「聖地」と呼ばれる場所がある。プロ野球・阪神のファンで埋め尽くされるライトスタンドだ。そこで昨シーズン、一部のファンが観客に「帰れコール」を浴びせた。そこから観客同士の乱闘騒ぎに発展し、関係者に刑罰が科され、応援ルールの変更にまで至った。事件の顚末(てんまつ)は何だったのか。これからの応援の在り方を考えるためにも、当事者の証言を交えて振り返りたい。 試合開始後の異変 2021年7月9日、兵庫県西宮市。甲子園のスタンドは阪神カラーの黄色で染まっていた。この日、甲子園を本拠地とする阪神は巨人と激突した。阪神は当時セ・リーグ首位。対する巨人も2・5ゲーム差で追う2位で、大事な首位攻防戦だった。新型コロナウイルス禍で入場制限があったものの、約1万7000人の観客が駆