商店街の自営業の店で育った僕は、やくざはそんなに遠い存在ではなかった。 幼少期のぼくにとってのやくざは、父親の友人で、お小遣いをくれるサングラスのおじさんだった。 年に最低2回は決まった時期にやって来たことを覚えている。 夏祭りになると、近所の倉庫に人が集まり、父は顔を出す。 よくついていった。お小遣いを貰えるので欠かせない財源だったが、酒臭くて長くはいなかった。 夜になると、夏祭りモードの我家にもやってきて世間話をする。 お気に入りの椅子が奪われるのを知っていたが、迎い入れるとお小遣いをもらえたので それまでは遊びに行くのを我慢した。 また、年末になると、父親はヤクザの忘年会に呼ばれた。 僕が呼ばれることは無かったが、写真を見たことがある。 今思えばあんな店町内にあったのか?と不思議だ。 お誘いのために、家にヤクザがやってきたのをよく覚えている。 忙しい年末中での長時間の来客だったからだ