もしかしたら、そうかも。そうか、心のどこかで、俺はもう知ってたんだ。君らの誰も知らなかったことをな p421 率直に言って、なんじゃこりゃーという小説だった。この前に「日の名残り」を読んでいたから、一人称の独白で過去を回想しながら現在にたどり着くという全体としての大まかなスタイルは同じだなあと思った。著者が育ったイギリスを舞台にしているところとか、時代設定は「日の名残り」と少しずれているけれど、雰囲気はどことなく共通するものがあった。でもそれ以外は同じ作者が書いたと思えない。幅が広いと言うか、人物の描写があまりにも違いすぎて、なんじゃこりゃー。というのはこれを書いたのがおっさんだとはとても思えなくて。 カナダでカズオ・イシグロの講演会があり、僕はその当時まだ名前を知っている程度で作品を読んだことはなく、偶然その場に居合わせただけだった。講演会の入り口に列を作るファンたちは、カナダ人女性ばか
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