はい、「シャドーボクシング」という言葉があります。もともとの言葉はボクシングのトレーニングの一種で、目の前に人がいるかのようにシャドーがいるかのように拳を突き出し頭を振って攻撃を避けているかのように、敵をイメージしながら身体を動かす。それをシャドーボクシングと呼ぶわけですが、独りで言葉を黙々と綴る「文章を書く」という運動においてもシャドーボクシング状態に突入することが僕たち人間にはあるのです。敵を作り出してその敵を撃つべく筆が走る瞬間というやつが文章を書いていると時たまあるわけですが、走る筆の手はパーで超ダサいんですが、一体その敵は誰なんだ?それはお前だ。お前だ、お前しかいないんだよ。お前が撃っているのはお前なんだ。この世にはお前しかいない。いいや違う。お前とこの世の二つしかないんだ。孤独に書き殴るお前が殴っているのはお前だ、そしてその瞬間お前は世界とは決して接続していない。お前は独りで生