さまざまな社会的不合理(性差別もその一つだ)を改め、世の中を少しでも住み良くしてくれるのは、「自分は間違っているかも知れない」と考えることのできる知性であって、「私は正しい」ことを論証できる知性ではない。 内田樹「アンチ・フェミニズム宣言」『ためらいの倫理学』(角川文庫)146ページ評者が内田樹のことを知ったのは、おそらく大学生の頃だと思う。おそらく、というのは評者自身、いままで内田氏の文章や関連記事をほとんど読んだことがなく記憶が曖昧だからである。法学部に在籍していた評者は文学者の思想には関心がなかったし、周りは内田氏に批判的なコメントばかりしていた。一度、大学図書館で彼の著書『寝ながら学べる構造主義』を借りたことはあるが、ほとんど読まずに返却した。当時、評者にとって内田氏が書いている文章にあまり響くものがなかったからである。 今回『サークル有害論』や『プロレタリア文学セレクション』など

