このブログでは基本的に時事的な話題は扱わない方針であるし、ネガティヴな議論は控えたいと考えているが、さすがに今回はこのタイミングで批判すべきだと感じる。 『美術手帖』の今月号は「総力特集 村上隆」である。最初に断わっておくが、私は村上隆という作家に対して特に関心をもたない。2001年の東京都現代美術館における回顧展や同年、ロスアンジェルスのパシフィック・デザイン・センターで開催された『スーパーフラット』、あるいは2003年のヴェネツィア・ビエンナーレに際して「ラウシェンバーグからムラカミまで」というサブタイトルとともに開かれたフランチェスコ・ボナミの企画による絵画展などで作品を見た記憶はあるが、いずれもたまたま開催されていた時期にそれらの都市を訪れたからであり、特に作品に関心がある訳ではない。村上のような表現があってもよいとは思うが、それは村上が評価する平山郁夫という画家の作品があってもよ