ブックマーク / call-of-history.com (6)

  • 『幕末単身赴任 下級武士の食日記 増補版 (ちくま文庫)』青木直己 著

    日記の主である紀州和歌山藩士酒井伴四郎は万延元年(1860)当時28歳、25石の下級武士で、上司にあたる叔父・宇治田平三、同僚の大石直助らとともに、装束に関する着用の指導にあたる衣紋方として同年から一年七カ月の江戸勤務についた。日記は万延元年(1860)五月十一日から十一月三十日までの約七カ月である。 直前に大老井伊直弼は暗殺されるわ、紀州藩内も政争で重臣が失脚するわ、アメリカ公使ハリスらをはじめ外国人が来日しはじめるわ、攘夷の嵐が吹き荒れるわで、幕末の江戸は大わらわ・・・なはずだが、下級武士の彼にはそんな激動は特に関係なく、毎日の生活とか、倹約生活とか、江戸観光でどこ行ったとかの話で占められているのが、実に等身大という感じで面白い。 書で紹介されるのも大半が彼らが何ったかである。紀州から江戸への道中だけでもあんころだうなぎだわらびだ柏だ葛だ栗だ力だとばっかりだけど道中

    『幕末単身赴任 下級武士の食日記 増補版 (ちくま文庫)』青木直己 著
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    netcraft3 2019/03/08
    “茶屋に立ち寄るとロシア、アメリカ、フランス、イギリス四か国の人々がいたので一緒に呑み食いした”
  • 「大聖堂・製鉄・水車―中世ヨーロッパのテクノロジー」 | Call of History ー歴史の呼び声ー

    ヨーロッパの中世を「暗黒時代」、すなわち「暴力と狂信と無知と停滞の時代」とする見方はすでに否定されている。確かに絶え間なく続く戦争と、キリスト教的世界観の浸透と、ローマ教会の支配が築かれ、ギリシア・ローマ時代の知識が少なからず一時的ながら失われた時代ではあったけれども、後に近代を切り開く土台となる様々な技術のささやかながら着実な革新が繰り返された、ゆっくりと着実な進歩の時代であった。その中世ヨーロッパのテクノロジーとイノベーションはどのようなものであったのか、緩やかな技術革命の千年を振り返る一冊である。 別に中世ヨーロッパが栄光の時代であったとか、産業革命に比肩する技術進歩の時代だったなどと言う訳ではなく、ただただ、後進地であったヨーロッパで中世の千年間で起きていた地道な技術的革新の歩みを描いているに過ぎないが、そこにドラマがあり、面白さがある。ジャレッド・ダイアモンドとかウィリアム・H・

    「大聖堂・製鉄・水車―中世ヨーロッパのテクノロジー」 | Call of History ー歴史の呼び声ー
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    netcraft3 2019/02/17
  • 「オカルトの帝国―1970年代の日本を読む」一柳 廣孝 編著 | Call of History ー歴史の呼び声ー

    映画、TV、小説、アニメ、マンガ、ゲームなどのサブカルチャーから宗教・思想さらには日常生活の隅々までオカルトは薄く広く拡散している。日におけるオカルトの広がりのルーツを辿ると1970年代に行き着く。では、現代日という「オカルトの帝国」の原風景といえる1970年代のオカルトの大流行はどのようなものであったのだろうか。「閉ざされた知であるオカルトが白日の下にさらされた1970年代」を描く論文集である。 ただし、絶版。ひと通りネット書店を見て回っても購入することは出来ないようなので、興味がある方は図書館か古書店で。 目次 第一部 オカルトの日 第一章 オカルト・ジャパン・シンドローム――裏から見た高度成長 第二章 小松左京『日沈没』の意味 第三章 ディスカバージャパンと横溝正史ブーム 第二部 メディアのなかのオカルト 第四章 エクソシスト・ショック――三十年目の真実 第五章 「ノストラダ

    「オカルトの帝国―1970年代の日本を読む」一柳 廣孝 編著 | Call of History ー歴史の呼び声ー
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    netcraft3 2019/02/16
    小さい頃オカルト本は田舎の書店で買える数少ない娯楽で科学雑誌や総合誌と一緒のコーナーで売られてた。公害病や伝統の再発見やUFOブーム以外に全面核戦争の可能性が高まった影響も大きそう。
  • 「裸はいつから恥ずかしくなったか―日本人の羞恥心」中野 明 著

    幕末明治、日を訪れた欧州の人々が驚いたのが、そこらじゅうに溢れる恥ずかしげもなく裸体を晒す日の人々である。若い娘が一糸まとわぬ姿になって庭先で行水し、子供たちは裸で川遊びに興じ、車力の男達は筋骨隆々な身体を見せ、公衆浴場も温泉も多くが当然のように混浴で、老若男女みな裸体の人が町中にいても気にも留めない。 当時の欧州や現代日と当時の日とでは裸体に対するとらえ方が大きく違っていた。当時の日では裸体は羞恥心を抱く対象ではなく、現代日で言うところの顔のようなもの、『人間の顔と同じく「日常品(コモディティ)」だった』(P107)と著者は言う。一般的に、人の顔を見てもなんら性的な欲求を覚えないように町中で顔を晒して歩いていても恥ずかしいとは思わない。同様に、当時の日では顔の延長であるコモディティとしての裸体を恥ずかしいとは思わない。このような裸体を恥ずかしいと思わない観念の社会が、明治維

    「裸はいつから恥ずかしくなったか―日本人の羞恥心」中野 明 著
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    netcraft3 2018/08/24
    裸を恥ずかしく思うのは知恵の実を食べた人間の原罪の証拠なのに、西欧諸国が知識や近代化とセットで裸体を恥ずかしく思う発想を広めたのは味わい深い。
  • 「アンネの日記」真贋論争~偽書説が科学的検証を経て否定されるまで

    「アンネの日記」が何者かの手によって都内図書館で多数破られているというニュースが次々と報じられている(2014年2月)。サイモン・ヴィーゼンタール・センターによる批判を皮切りに海外メディアでも報じられて、国際問題の様相すら呈しつつある。 この事件については当局の適正な捜査を見守るだけだが、これを切っ掛けにふと「アンネの日記」を色々と検索してみると、未だにアンネの日記偽書説がインターネットに広がっているようだ。え?今更?としか思えないのだが、結論から言うと「アンネの日記」は1981年にオランダ国立戦時資料研究所とオランダ国立法科学研究所による科学的調査の上でアンネ・フランクが書いたものと確定している。この件、日ではwikipediaに軽く触れられている程度で、インターネット上にはテキストが見当たらないので、これを詳説したオランダ国立戦時資料研究所編「アンネの日記 研究版」(絶版)をもとに改

    「アンネの日記」真贋論争~偽書説が科学的検証を経て否定されるまで
    netcraft3
    netcraft3 2018/07/03
  • 「鎌倉を読み解く―中世都市の内と外」秋山哲雄 著

    鎌倉幕府の成立が「イイクニ(1192)つくろう鎌倉幕府」ではなくなったという話は随分と広く知られるようになってきた。しかし、もう一つ鎌倉幕府の成立に関して、大きく見直されていることがあることはあまり知られていないのではないか。それは、「三方を山に囲まれた天然の要害ゆえに頼朝は鎌倉を拠地とした」という通説が近年否定されてきている、ということである。 まず、「序章 都市鎌倉研究の現在」では通説であった武家の都としての鎌倉城塞都市説が近年の研究でどのようにして否定され克服されてきたかという研究史がまとめられ、続けて都城のような都市計画の存在も否定されつつある研究状況が概観された上で、成立期の鎌倉の評価をめぐる様々な論考が紹介される。また、鎌倉の都市域の解明、鎌倉の葬送に関する考古学的研究の成果と今後の課題、鎌倉と外部のつながりなど、その章題の通り都市鎌倉研究の現在が見通せる。 じつは鎌倉には、

    「鎌倉を読み解く―中世都市の内と外」秋山哲雄 著
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    netcraft3 2018/06/25
    “通説であった武家の都としての鎌倉城塞都市説が近年の研究でどのようにして否定され克服されてきたかという研究史がまとめられ、続けて都城のような都市計画の存在も否定されつつある研究状況”
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