「昔はヒマさえあれば飲みに行っていましたけど、今は空いた時間のすべてを落語に使うようになりましたね。寝る前も常に落語のネタを呟いて、飛行機や新幹線で寝るときも絶対にそうしています。今ではそうしないと逆に寝付けなくなってしまっています」 そう語るのは落語家・月亭方正(50)。売れっ子芸人としてテレビで活躍していたにもかかわらず、なぜ彼は新たな道を選んだのか。実は華やかに活躍する陰で、方正はひそかに悩みを抱えていたという。 「僕がいつも求められていたのはアホとかヘタレとか、そういうネガティブなものでした。たしかに“滑り芸”や“いじめられ芸”なんて言われて人気も急上昇しましたし、収入も増えました。でも、いつも不安だったんです。自分の力じゃなく周りの方々のおかげで笑いになっているから、やっていることに自信が持てなくて。芸人として“滑り芸”なんて言われるのも不本意でしたし……。その時期は本当に精神的