オバマ米大統領は2014年6月、石炭火力発電所に対する厳しい規制案を発表した。発電部門からの二酸化炭素(CO2)排出量を20130年までに30%削減する内容だ。CO2を回収して貯留する手段(CCS)がなければ、事実上、石炭火力発電は存続できない。野党・共和党や化石燃料関連の産業界などからは反発の声が上がるが、米環境保護局(EPA)などによって準備は周到に進められてきた。 日本では1990年以降、石炭火力発電を増やし続けてきた。2011年度の石炭火力の発電量は2400億キロワット時で、90年度の3倍以上だ。4月に閣議決定された「エネルギー基本計画」でも石炭を「重要なベースロード電源」と位置づけ、原発の新設が見込めない中でCCSなしの石炭火力の建設計画が相次いでいる。国外でも、欧米を中心とする国際的な開発金融機関が石炭火力への融資基準を厳しくしているにもかかわらず、日本は石炭火力発電の海外展開