【臨時更新】 総評としては、名前負けと事実誤認の多さが気になる一冊。 ナムコ黄金時代やファミコン全盛期からゲーム音楽に親しみ続けてきた、昔ながらのゲーム音楽リスナーは、私も含めて数多くいます。そしてこの世代のリスナーの多くには、ゲーム音楽の聴き方について、ある根深いバイアスがかかっています。それは「ゲーム音楽は実在する楽器の音に近づける努力が大事で、いかにリアルな音を出しているかが楽曲の価値に大きく関わっている」とする、音色中心主義(ないしリアリズム信仰)ともいえる態度です。少なくとも90年代半ばまで、それはほとんど自明の前提のように作用していました。こういった認識がバイアスであると自覚しているリスナーは当時とても少なく、今日に至ってもまだ多くはないでしょう。 リスナーの多くは、誰から強制されたわけでもないのに、この考え方を自然なものとして受け入れていました。社会学でいうところの信憑構造が
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