私は暦が好きなので, Shakespeareの劇を読んでいても「暦」の文字があると立ち止ってしまう. 例えば, 誰でも思い出すであろう「夏の夜の夢」3幕1場で, 6人の職人が森の中で芝居の稽古をする場面: スナウト おれたちが芝居をやる晩に月は出るのか? ボトム 暦だ, 暦だ! 今年一年の暦を見て, 月が出るか調べるんだ, 月は出るか. クインス うん, その晩月は出る. (ここでの引用は, 私と同時代人である小田島さんの訳による.) 旧暦の国の人なら, 日付けで月のありなしは分る. 1日の前後は月出は夜明, 月入は夕方 8日の前後は月出は夜中, 月入は昼間 15日の前後は月出は夕方, 月入は夜明 22日の前後は月出は昼間, 月入は夜中 である. だから明治5年12月2日, 旧暦の最後の日は, 地球照で鎌のように細く光る三日月が 西の空にあったに違いない. 英国は, というかヨーロッパの殆