「俺たちが居酒屋を継ぐ?」 柏木は大きくうなずいた。 「優里の『大学進学』や月島の『実家再興』に比べれば、あたしの手にしたい未来ってちょっと漠然としてたでしょ? 『幸せな家庭を築く』なんてさ。もしかすると悠介は『どうしたらいいんだよ』って困ってた部分もあったかもしれない。でも、ようやく具体的な道を悠介に示せるようになったの。これだ! って思ったの。うちで一緒に暮らして、一緒に働こうよ。それがあたしたちの望ましい未来なんだよ」 望ましい未来、と俺は小さく声に出した。 「絶対うまくいく」柏木はすかさずそう続けた。「考えてもみなよ。居酒屋をやっていくのなら、あたしたちみたいな最強コンビはそうはいないよ? 悠介は厨房担当。小さい頃からたくわえてきた料理のノウハウと一年間居酒屋でバイトしてきた経験を活かして、お酒に合うメニューをバンバン開発しちゃいなさい。接客とか配膳とかそういう愛想が必要な仕事はあ
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