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ブックマーク / business.nikkei.com (13)

  • 小田嶋隆さんとつくった『コラムの向こう側』

    小田嶋隆さんが他界したその日(2022年6月24日)、私は新型コロナに罹った。 そのため翌週末に催されたお別れ会にも参列できず、自宅にこもり、ひとり悲しみに暮れるほかなかった。6月末、自社のウェブ雑誌の毎月末にその月をふりかえるコーナー(「今月と来月」)で、私はこう綴った。 47歳の誕生日を迎えたその日に僕はコロナになり、小田嶋隆さんがお亡くなりになった。数日間、ひたすら寝て過ごした。幸い、軽症で済み、体調が戻ってきた今週はずっと悲しみに暮れている。悲しみを実感するにも、ある程度の体力が要ることを知った。 小田嶋さんに出演いただいたイベントを見直したり、小田嶋さんが影響を受けた音楽たちを粛々と追っている。創業期からお世話になった方だが、ただの一つも嫌な思い出がない。ほんの少しであれ気分を害するような経験をしたこともない。不思議なことに。 少年のようなおじさん。そう称されるのをしばしば耳

    小田嶋隆さんとつくった『コラムの向こう側』
  • 森氏が五輪組織委トップに祭り上げられる理由

    「女性がたくさん入っている理事会の会議は時間がかかる」 と、森喜朗・ 東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会会長は言ったのだそうだ。 この発言の第一報が伝えられた日の夜、ツイッターのタイムライン上には、記事を読んだ人々が、それぞれ、五輪の幕引きの手順や、尻拭いの方法について、思い思いの感慨を書きこんでいた。 なんというのか、第一報が伝わった時点で、すでに 「女性蔑視」 というのは、主要な論点ですらなくなっていたわけだ。 当然といえば当然だろう。森さんの発言がドンピシャリの女性蔑視であることは、いまさら誰が検証するまでもなく、隅々まではっきりしている。そんな論点について、ことあらためて議論をするのは時間の無駄というものだ。 とすると、次の問題は、森さんの言葉が、JOCの臨時評議員会という公の場所で五輪組織委のトップが発信する内容として適切であったのかどうかなのだが、これについても

    森氏が五輪組織委トップに祭り上げられる理由
    nico-at
    nico-at 2021/02/05
    "企業の将来性は、「どんな社員を雇用しているのか」よりも、むしろ「どんな社員が出世するのか」""つまんないヤツが出世する会社ってろくなことになってないしな"/太鼓持ちが幅きかせてる組織はキツいよね
  • 文春砲の砲手に期待すること

    今週もまた、菅義偉新政権の話題に触れなければならない。 このことについて、まず、読者の皆さまにお詫びしておく。 思うに、商業メディアに連載を持っている書き手が、3週連続で政権批判めいた文章を書くことは、「コラムニスト」という職業の矩(のり)をこえた所業だ。言ってみれば「運動家」のやりざまだ。 もっとも、私は、誰かに頼まれて倒閣運動を展開しているのではない。 菅さんに対して私怨を抱いているというわけでもない。 にもかかわらず、3回続いて似たような話題を取り上げる結果になってしまったことは、自分としては不幸な偶然なのだと考えている。 というよりも、私が今回、この話題(菅さんが自著の新書版の発売に当たって、元の単行の記述を削除したこと)を取り上げるのは、首相の政治姿勢を批判するためというよりは、一人の出版業界人として、コトのなりゆきに心を痛めているからだ。 私の受け止め方としては、件は、政治

    文春砲の砲手に期待すること
  • 杉田水脈氏が「無敵」だった理由

    「女性はいくらでもうそをつけますから」 と、杉田水脈議員は言ったのだそうだ。記事にはそう書いてある。 見出しを読んだだけでは、この発言の悪質さは伝わらない。 うっかり読むと、杉田議員は個人的な観察を述べただけであるように思える。 というのも、実際、女性はうそをつくことができるからだ。 うそをつくのは女性だけではない。男性だってうそをつく。子供も大人も、当然ながら、うそをつく。のみならず、日人も外国人も、金持ちも貧困層も、およそすべての人類は例外なくうそをつくことができるし、現実に、多くの人間は、うそをつきながら日々を暮らしている。 そういう意味で、一般論として述べるのであれば、杉田議員の言葉は間違っていない。間違っていないどころか、人類普遍の真実を端的に述べた勇気ある言葉であると評価することさえ可能だ。 しかし、杉田議員は一般論を語ったのではなかった。 彼女は、性暴力に対する相談事業につ

    杉田水脈氏が「無敵」だった理由
    nico-at
    nico-at 2020/10/02
    "彼らがどうして必ず加害者側の立場に立ちたがるのか""いつも加害者の側に立つことが、強さを保つ秘訣だとか、彼らはそんなふうに考えながら生活を営んでいるのだろうか"
  • 「人に迷惑をかけるな」という呪いと自助社会の絶望感

    書こうか書くまいか散々悩んだ結果、やはり書こうと思う。 なぜ、悩んだのか? 一つには、何から書いていいか分からないほど、「絶望」に近い感情を抱いたこと。そして、もう一つは、どうしたら伝えたいことが伝わるか、最善の方法が見つからなかったからだ。 が、今書いておかないと後悔しそうなので、書きます。 テーマは「人さまに迷惑をかけるな!」といったところだろうか。 まずは、遡ること14年前に起きた、忘れることのできない“ある事件”からお話しする。 2006年2月1日、京都市伏見区の河川敷で、認知症を患う母親(当時86歳)を1人で介護していた男性(当時54歳)が、母親の首を絞めて殺害した。自分も包丁で首を切り、自殺を図ったが、通行人に発見され、未遂に終わった。 男性は両親と3人で暮らしていたが、1995年に父親が他界。その頃から、母親に認知症の症状があらわれはじめる。一方、男性は98年にリストラで仕事

    「人に迷惑をかけるな」という呪いと自助社会の絶望感
  • 「安倍政権7年で霞が関はガタガタになった」片山元総務相

    安倍晋三首相が8月28日、辞任する意向を表明した。7年8カ月に及ぶ歴代最長政権を可能にした要因として、内閣人事局の創設など官邸の権限強化は大きい。一方で、政権の後半には、霞が関の人事権を掌握した副作用も目立った。学校法人森友学園(大阪市)を巡る財務省の公文書改ざん問題をはじめ、霞が関には官邸に対する忖度(そんたく)がまん延するように。自治省(現総務省)出身で、後に総務相も務めた早稲田大学公共経営大学院教授の片山善博氏に、安倍政権下での官邸と霞が関の力関係の変化や、次期政権の課題について聞いた。 片山善博(かたやま・よしひろ)氏 1951年岡山市生まれ。74年東京大学法学部卒業、自治省(現総務省)に入省。自治大臣秘書官、固定資産税課長などを経て、99年鳥取県知事(2期)。2007年4月慶應義塾大学教授。10年9月から11年9月まで総務相。同月慶應義塾大学に復職。17年4月から現職。 『民主主

    「安倍政権7年で霞が関はガタガタになった」片山元総務相
  • 「マルチアンチ」な彼らの正体

    前回更新分の当欄コラムで、『13th -憲法修正第13条-』というNetflix制作の無料配信動画をご紹介したところ、その動画を見たという人々から様々な反響が寄せられた。 大部分は、 「見る価値のある映画だった」 「合衆国の歴史を見る目が変わった」 という感じのポジティブな反応だったのだが、一部には 「内容が一方的だ」 「プロパガンダ臭が強すぎる」 といった見方を伝えてきた人々もいる。 私個人としては、あの動画を「プロパガンダ」と断定してしまう評価には共感できないのだが、それはそれとして、自分の中に無い視点から作品を読み解く解釈を知ることができたのは収穫だった。ひとつの作品を、ネット上に散在する不特定多数の人々とともに同時視聴する経験の貴重さに、感銘を受けた。 ただ、作品の評価とは別に、先日来アメリカで吹き荒れているBLM(Black Lives Matter)の運動について、 「ここ10

    「マルチアンチ」な彼らの正体
  • 自閉症の特性はみんなにあると示した画期的な研究

    発達障害である自閉症は、人口の2%に及び、“グレーゾーン”も入れると1割を超すという。現在の診断名は「自閉スペクトラム症」で、かつてのアスペルガー症候群も含め、その現れ方は様々だ。そんな自閉症への理解を深めるために、日の研究と治療と支援をリードしてきた医師、神尾陽子先生の研究室に行ってみた!その4回目。(文=川端裕人、写真=内海裕之) なにか病気なり、障害なりの対策をしようとする時に、まず必要なのは現状把握だ。 現在、治療や支援や配慮を必要としている人がどの程度いるのかを知りたい。そういった頻度を見ることは、疫学研究の第一歩である。 「先の九州での研究は、コホート研究としては結果を出せなかったんですが、1歳半のときの自閉症スクリーニング(選別)の精度がどうかは示せました。私たちは実際の健診に来た人を1歳半でスクリーニングして、6歳まで追いかけて、実際に自閉症を発症したか、そうではなかった

    自閉症の特性はみんなにあると示した画期的な研究
  • 死ぬこと以外かすりキス?

    なんと、黒川弘務東京高検検事長が辞意を表明した。 2020年に入ってからというもの、毎日のようにびっくりすることばかりが続いていて、何かに驚く感受性自体が、たとえば去年の今頃に比べて、50%ほど鈍化した気がしているのだが、それでも今回のこのニュースには仰天した。 黒川氏は、5月21日発売の「週刊文春」誌がスクープしている新聞記者との賭け麻雀の事実関係を認めて、辞意を漏らしたもののようだ。 してみると、3日前(18日)に政府が検察庁法の改正案の今国会での可決成立を断念した理由も、安倍総理が説明していた「国民の皆様のご理解なくして前に進めて行くことはできない」という筋立ての話ではなかったことになる。 「ネット世論が政治を動かした」 というわたくしども野良ネット民の受け止め方も、こうなってみると、ぬか喜びというのか、勘違いだった可能性が高い。 政府が法改正を断念した理由は、あらためて考えるに、黒

    死ぬこと以外かすりキス?
    nico-at
    nico-at 2020/05/22
    "彼女の告発を「チクり」「密告」「タレコミ」「言いつけ口」「売名行為」と評する輩が、今後、大量に現れるはずだが、どうか気にしないでほしい。"
  • 「うそつき」をめぐる奇天烈な話

    性的暴行を受けたとして、ジャーナリストの伊藤詩織さんが元TBSワシントン支局長の山口敬之氏に1100万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁は18日、山口氏に慰謝料など330万円の支払いを命じた。 記事を読む限り、裁判所は伊藤さんの側の主張をほぼ全面的に認めている。 一方、山口氏は「伊藤さんに名誉を棄損され、社会的信頼を失った」などとして1億3000万円の損害賠償や謝罪広告を求めて反訴していたが、棄却された。判決では「(伊藤さんが)自らの体験を明らかにし、広く社会で議論をすることが性犯罪の被害者をとりまく法的、社会状況の改善につながるとして公益目的で公表したことが認められる。公表した内容も真実である」としている。 判決のこの部分には、万感がこもっている。 いや、裁判官が判決文の中のカギカッコで囲われた部分を書くに当たって、万感をこめていたのかどうかは、正直なところ、わからない。 ただ、

    「うそつき」をめぐる奇天烈な話
    nico-at
    nico-at 2019/12/20
    "「性犯罪被害者は、性犯罪加害者を告発できない」という、性犯罪加害者にとってあまりにも魅力的に聞こえるこの背理を、異常だと思わないとんでもない人々のお仲間が、日本の中枢に座を占めている"
  • 小さなウソを容認すると起こること

    「ニューオータニの宴会場で800人の立パーティーをやって、一人アタマ5000円で済むのか」 という話題が、この1週間、様々な場所で行ったり来たりしている。 バカな話だと思う。 私の感覚では、無理に決まっている。これが無理でないのだとすると、この世界に「価格」というスタンダードがあること自体がおとぎ話になってしまう。 どんなに優秀な幹事を立てたところで、きょうび都内の一流ホテルで料理と飲み物を出すパーティーが、一人アタマ1万円以下の会費でペイできる道理はない。聞けば、当日は有名寿司店の寿司がふるまわれたというし、名前の知れたシャンソン歌手が歌う場面もあったのだそうだ。だとすれば、なおのこと5000円という会費はあり得ない。完全に不可能だとまでは断言しないが、近所のコンビニで売っている120円のシュークリームひとつで丸1週間いつなぐことが困難であるのと同じほどにはバカげた話だと思う。 仮に

    小さなウソを容認すると起こること
    nico-at
    nico-at 2019/11/24
    "5000円の出入りについてウソを言った人間は、5兆円の収支についてもウソを言うはずだ。そういう人間が国庫を握るようなことになったら、国民は100兆円のごまかしや私物化に直面することになる。"
  • お笑いブームの寂しい着地点

    この半月ほど、お笑いタレントが舞台やネット動画コンテンツの中で披露したネタが炎上するケースが連続している。 まず話題になったのは、女性コンビのAマッソのケースだ。9月22日に開催されたお笑いライブのステージで、「大坂なおみに必要なものは」「漂白剤」といったネタがあったとして、ネット上で批判が集中し、所属事務所のワタナベエンターテインメントが謝罪。大坂側にも謝罪したと報じられた。 この騒動が呼び水となった形で、 「もっとひどいネタがあるぞ」 「こっちは問題じゃないのか」 といった声とともに引用されて炎上したのが吉興業所属の芸人「金属バット」の漫才だ。 こちらのケースは動画がそのままアップされていることもあって炎上の度合いは、より激しいものになった。 内容は、わざわざ書き起こす気持ちになれない。リンクした記事の中で詳しく紹介されているので興味を持った読者は参照してほしい。動画の方もひと工夫し

    お笑いブームの寂しい着地点
    nico-at
    nico-at 2019/10/04
    "笑いは高度な文化だという思い込みが、かえってお笑いを低俗な娯楽に誘導した結果が、今われわれが見せられている21世紀の寒々とした差別的な笑い"
  • 「なめんな」と言われる立場になってみよ

    神奈川県小田原市で、生活保護を担当する職員らが、「保護なめんな」などとプリントされた揃いのジャンパーを着用して、生活保護家庭を訪問していたことがわかった(こちら)。 わかりにくいニュースだ。 「何を言うんだ。わかりやすいニュースじゃないか」 と思った人もいることだろう。 が、このニュースは、受け止める側の考え方次第で、様々な読み取り方が可能なところが眼目で、その意味では、むしろ、わかりやす過ぎると言うべきなのかもしれない。 まず、見出しを見るなり、 「なんという非道な仕打ちだろうか」 と、そう思った人がいるはずだ。 そういう人たちにとって、このニュースは、市職員による生活保護家庭への非道な仕打ちと受けとめるほかに、解釈の余地のない、大変に「わかりやすい」ニュースだったことになる。 けれども、反対側には 「保護なめんなのどこがいけないんだ?」 と思っている人々がいる。 揃いのジャンパーを作っ

    「なめんな」と言われる立場になってみよ
    nico-at
    nico-at 2017/01/20
    "彼らは、自分たちが握っている権益をチラつかせて、支配下にある人間をなぶることを楽しんでいた。"/"刃は、必ずしも不正受給に向けられているのではない。""正しく、生活保護受給者そのものに向けられている。"
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