十二人を殺害し五〇人を暴行、百件以上の強盗を行った最悪の殺人鬼──『黄金州の殺人鬼──凶悪犯を追いつめた執念の捜査録』 この『黄金州の殺人鬼』は、いわゆる連続殺人鬼を追った事件物のノンフィクションなのだけれども、まず様々な他の連続殺人事件と比較して凄いのはこの殺人鬼が犯した罪の量だ。 1970年代から1980年代にかけて、少なくとも12人を殺害、50人を暴行(レイプ)とその件数だけみてみても異常だが、時には一週間に一人などのハイペースで襲って、犯人の見た目、目撃情報なども出揃ってきているにも関わらず、数十年以上にも渡って足取りを掴ませない用意周到さがあった。どれほど容疑者を絞り込んでDNA鑑定をしても犯人を特定できず、本書の原書刊行は2017年のことなのだが、その時ですらまだ犯人は捕まっていなかったのだ。 「まだ」なので、その後(2018年)に犯人は40年以上の月日をかけて逮捕されるのだが