AI(人工知能)とベーシックインカム(無条件に政府から与えられる基礎収入)によって人類が労働から解放される「奴隷制2.0」の社会は、奴隷制1.0を廃止させた「普遍的人権の倫理的要請」をクリアしている。 奴隷制1.0は、「やっぱ同じ人間をモノ扱いするのはマズいっしょ」という人類の博愛主義によって崩壊した。 奴隷制2.0は人間ではなくモノに働かせるんだから問題なさそうに見える。しかし、本当にそうだろうか。汎用AIに対して尊厳を認めようとする脱人間中心主義的な政治運動が出てくるのは不可避である。現代における捕鯨反対運動のようなものとして、それは展開されうる。 人間は、自らの似姿、つまり人間に似てるモノを、人間の概念に組み入れてきた。そもそも欧州人にとって、アフリカ人などは最初は「人間かどうか」と議論されるようなものだったわけだし、何を持って「人間」と考えるかの境界は決して自明ではなかったし、今後