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ブックマーク / yashio.hatenablog.com (5)

  • 差別語の三相を見つめて適切に距離を取る - やしお

    小説を商業出版することになり、これまで自分で書いて見直すだけだったのが、編集者・校正者による校正・校閲のプロセスを初めて体験した。その過程で差別語・差別表現に関しての指摘を受けて、改めて自分の中での判断について少し整理しておきたいと思った。 ある言葉が持つニュートラル、ネガティブ、ポジティブの三相を同時に見ないと、「その言葉をここで使うのが適切か」は判断ができないけれど、三相のうち一面しか見なかったり知らなかったりすると正確に判断ができなかったり、話が噛み合わなくなったりする。 指摘を受けた点1 「発狂」や「狂人」に指摘が入った。 江戸時代に実在したという届出「発狂扱ひ」に言及した箇所に指摘が入った時はどうしようかとも考えて、「精神状態の異常による行動という届け出」と言い換えた。 明治時代に精神障害者が「狂病者」と呼称され、「狂」に否定的・差別的な意味あいが付与されてきた。1970年代に「

    差別語の三相を見つめて適切に距離を取る - やしお
  • 今をもっと野蛮な世界にしていく - やしお

    未来から見たら、現在はずいぶん野蛮な世界に見えているのだろう。現代から中世・近世を見ると(怖すぎる)(生きていけない)と感じるのと同じなのだと思う。「野蛮」は、「そういう世界が存在する(した)のは理解できるが、この世界を知った上でそっちの世界に行くのは厳しいと感じる」ような気持ちをさしあたり言っている。 野蛮になりそうなポイントや、野蛮になってほしい物事をぱっと思い付く範囲で挙げる遊びも楽しいかなと思って。 ポイント・クーポン ダンピング同様、消費者が品質・価格によって商品やサービスを正当に評価・選択する環境を壊している。独禁法などでいつか規制されたりするのかもしれない。 調べる力や余裕がない人、スマホを持っていない人、たまたま利用した人を相対的に損させてしまう。 この損得を考える時間は人類の損失だろう。 〇〇経済圏などの囲い込みも似た歪みを生じさせる。 AIが複雑なお得ルールも最適解をさ

    今をもっと野蛮な世界にしていく - やしお
  • 自分自身をニュースサイトにしない - やしお

    SNSでもブログでも、時事的な事柄・ホットな話題への反射的な言及が自分自身では減ったと感じている。気を付けてそうしているというより、そうすると自分が嫌になる・苦しくなる、という心理的なハードルが上がって勝手にやらなくなってきている。 この「気分」は個人的なものだけでなく、全体の風潮の影響も受けていて、一定の一般性があり得るかもしれない。現時点で「どういう気持ちがあるのか」を書き残すといいかもと思ってメモ。 炎上加担の功罪 「ホットな話題への言及」には利点/欠点の両面がある。 「不正義・不条理で苦しめられた」などの案件が、炎上で是正されるケースもよくある。 企業・行政vs個人で、昔なら個人が一方的に不利益を押し付けられて終わりのケースで、個人が救われたりする。 一方で「実は不正義じゃなかった」案件の炎上に参加して、意図せず加害行為に加担してしまうケースもあり得る。 例えば、草津町議が町長から

    自分自身をニュースサイトにしない - やしお
  • クリエイターに編集や校正の技術が必須の時代 - やしお

    ここ最近で、平田オリザやソフトバンク新入社員が叩かれたり、あるいはナイナイ岡村への矢部の公開説教が批判されたりするのを見かけた。論旨そのものはおかしくなくても、細部や印象で違和感を持たれると叩かれてしまう。 それを防ぐには、先回りして叩かれポイントを潰しておけばいいのだけど、それは作家的な能力(コンテンツのクリエーション)というよりたぶん編集や校正(校閲)に近い技術になっている。それはネットが出てきて、さらに人口が増えて言論空間の距離(射程)が変わったせいで、作家的な能力と編集・校正技術の両方が(今まで以上に)個人の中に必要になってきていて、でも旧来の言論空間の距離感に慣れた人や、新規参入した人の中には、戸惑っている人もいるんだろうな、みたいなことを考えていた。 劇作家の平田オリザが、新型コロナウイルス対応にまつわる演劇界の苦境を訴えた際に、製造業その他産業を雑に引き合いに出したために炎上

    クリエイターに編集や校正の技術が必須の時代 - やしお
  • 映画『家族を想うとき』が冷静に見られなかった - やしお

    ケン・ローチ監督の『家族を想うとき』(Sorry We Missed You)は、どうしようもなく個人的な記憶が喚起されて冷静に見ることが難しい映画だった。忘れていた、完全に忘れていたわけではないけれど、日常的に意識したり思い出すことの少なくなっていた「お金がないと余裕がなくなって日常がキリキリと苦しくなっていくあの感覚」がよみがえって、12年前の両親との暮らしの記憶が一気に立ち現れて冷静でいられなくなるのだった。 (この映画は「ネタバレ」とは無縁のお話だとは思うけれど、内容について以下で触れているので一応ここで断っておく。) イギリスで暮らす一家の日常が描かれる。ホームレスにはならない程度の貧困にあえいでいる。父親は配送ドライバー、母親は訪問介護の職業に就いている。職にあぶれている訳ではなく、二人とも真面目に働いているし職業意識も高い。15歳くらいの長男は友人グループとのグラフィティにハ

    映画『家族を想うとき』が冷静に見られなかった - やしお
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