さいたま市の大宮には、「大宮のカレーにこの人あり」というインド人がいる。その名も“L・A・カーン”。日本語がペラペラで、どう見てもスーパーマリオにしか見えないカーン氏は、タージマハールホテルでも勤務した一流のシェフ。南北インドの家庭料理を中心に、本格派のインド料理を作ることで知られている。 カーン氏のカレーといえば、多くのカレー店とは一線を画すようなスパイス感が特徴だ。氏は食材やスパイスに相当のこだわりを見せており、特にスパイスは日本国内では手に入らないものを自分で輸入し使っているそう。またほうれん草カレー(サーグ)やマトンカレーは本当に絶品で、ここのものを食べて以来、私はほかの店のものを敬遠するようになってしまった。味には好みがあるとはいえ、いままでインドカレーをそこそこ食べ歩いていた私にとって、この経験はショック以外の何ものでもなかった。長年スパイスを利かせる=辛いもの、という認識の