東京・自由が丘駅前から歩いて数分。住宅街の閑静な一角に、築約50年の一戸建て民家にオフィスを構える「ミシマ社」がある。平成18年秋創業。平均年齢31歳、計7人の小所帯だ。「面白さ」を届ける 「読者と著者の思いがけない出会いを作り、読んだ人の世界を広げることが、出版の一番の面白さ」と、渡辺佑一(36)は力を込める。最初の社員として、三島邦弘社長(37)が同社を立ち上げた半年後に入社。書店営業の最前線に立ち続けてきた。 営業戦略のメーンに据えるのは、書店に本を卸す取次会社(〔1〕)を介さない、書店との直接の取引。出版不況の荒波の中、話題の本を次々と送り出している。 月に数十~100以上を刊行する出版社も多い中、年間10冊程度にしぼり、絶版にしない方針のもとに、約40作を出版。人文書『街場の文体論』(内田樹・著)、産経児童出版文化賞を受賞した絵本『はやくはやくっていわないで』(益田ミリ・作、平澤