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2019年10月20日のブックマーク (3件)

  • Daily Life:『メタ倫理学入門』へのコメント

    March 25, 2019 『メタ倫理学入門』へのコメント 佐藤岳詩『メタ倫理学入門』はメタ倫理学に特化した入門書である。メタ倫理学の100年あまりの歴史の中で議論されてきたさまざまなテーマや、そのそれぞれのテーマについてのさまざまな立場が手際よく整理され、紹介されている。ときどき挟まれるフローチャート形式の分類図も読者にとっておおきな助けになる。分野外の人にとってなかなかアクセスしにくかったメタ倫理学という分野の全体像を広く紹介したという意味で、書の価値は非常に大きい。 書の独自性は、話題の配置にもある。メタ倫理学の歴史は言語の分析からヒューム的心理学の是非や道徳形而上学へと議論の領域を拡大してきたが、書はそれを逆にして、道徳形而上学から話をはじめる。それはおそらく、善や悪があるかないかという問題設定の方が、道徳語は何かを記述するかしないかという問題設定よりわかりやすいだろう、と

  • 新人(賞)の方法

    このたび、拙作「反偶然の共生空間――愛と正義のジョン・ロールズ」が第59回群像新人評論賞優秀作に選ばれた。関係者のみなさんに感謝しつつ、こういう経験は(少なくとも私の人生のなかでは)あまりないものだから、記念のため、ワザというかテクというか、賞をとるための方法について、自分の書き方を中心に考えてみた。 100%の我流なので、あまり参考にならないかもしれないが、まぁ、軽い読み物として読んで欲しい。 「反偶然の共生空間」要約 拙作「反偶然の共生空間」は、ジョン・ロールズの『正義論』という有名な政治哲学のテクストを、偶然性を排除する想像力についての観点から読み直してみると色々発見があるかもよ、という論旨で読解したものである。 たまたま目が見えない体に生まれてきたよ。たまたま貧乏な家で育ったから満足な教育を受けられないよ。たまたま事故に遭って全身麻痺状態になっちゃったよ。偶然は人々を無根拠に不幸に

  • 「芸術論の新たな転回 01 星野太(1):それでもなお、レトリックを──星野太『崇高の修辞学』をめぐって1」(Interview series by 池田剛介) - REALKYOTO

    インタビュー:星野太 聞き手:池田剛介 昨今の政治・社会状況の変化を受けてか、これまでのものとは視点を異にする言説が登場してきている。反知性主義がはびこり、「ポストトゥルース」などという新語が造られる時代には、どのような思考や態度が必要とされるのだろうか。現代の芸術や言説空間に新たな風を運ぶ書き手に話を聞くインタビューシリーズ。初回には、カント以来の「美学的崇高」ではない、もうひとつの「崇高」についての刺激的な書物を上梓した哲学者・美学者を迎えた。 池田 マルセル・デュシャンの《泉》が1917年の作品なので、今年はちょうどその100年後にあたります。周知のようにこれは、男性用便器に署名を書きつけて展示するというもので、20世紀美術に最も影響を与えた作品のひとつと言えるかと思います。いま世界各地で展開されている現代美術も、おおよそその延長線上にあると言えるでしょうが、ここから決定的に新しいも