自分の場合読んだ本の感想を書くことはそう恥ずかしくないのだけど、小説を書くことはなんだかとても恥ずかしいことのように感じてしまう。文章の上手下手の問題ではない。自分の文章が下手であるとしても、本の感想に関してはそれ自体自分以外のものを対象にして自分を語っているところがある。つまり、題材として語っているのはあくまで本で、自分というものはそれにくっついた状態での感想として現れる。だから冷静に書けるし、あらかじめ「これは本を読んで感想を書いたのであって、自分のことを直接書いたわけではない」と済ませることが出来る。 小説の場合はストーリーが題材として存在していて自分はそれにくっついている……となれば話は簡単なのだけど、そのストーリーの設定やら話の転がし方やらそのものが自分の中から生まれるものであって、つまりは自分は箱庭を作っている。箱庭の配置にその人の特徴が現れるように、作品そのものが否応なし