永田町には「法律に違反しないと立法者にはなれない」という笑えないジョークがある。つまり現在の公職選挙法に忠実に選挙をやれば間違いなく落選するという意味である。それを聞くと大方の日本人は「汚い事をやった人間しか政治家になれないのでは、やっぱり政治家は信用できない」となる。しかし私はそれほど守れない法律で選挙をやっている方がおかしいと考える。守れない法律を作り、裁量で摘発するかどうかを決めるのが官僚支配の要諦だがそれは選挙にも通用する。 例えば日本の公職選挙法は戸別訪問を禁止している。買収の温床になるからだと言う。個人宅を訪れた候補者が金品を渡して投票を依頼しても周りには気付かれないと考えるからだろう。しかし世界で戸別訪問を禁止している国を私は知らない。少なくも先進民主主義諸国にはない。イギリスでもアメリカでも候補者が戸別訪問をして支持を訴えるのが選挙である。 どだい戸別訪問を買収の温床と