前回エントリで紹介したブランシャールとは異なる観点から関税の貿易赤字への影響を考察した表題の記事(原題は「Can Trump Reduce the Trade Deficit?: Paul Krugman」)をクルーグマンが上げている(H/T 本人ツイート)。 彼はまず、一般的な見方として、部分均衡、一般均衡いずれの観点からも貿易赤字は減らせない、という見解を紹介している。 部分均衡の観点では、以下の2つの要因が働く。 現在の米経済、特に製造業は、グローバルバリューチェーンに深く組み込まれており、輸入投入財に大きく依存している。例えば米自動車産業というものは事実上存在せず、米国、メキシコ、カナダに跨る供給者の複雑なネットワークで生産が行われる北米自動車産業が存在している。そこに一律に高関税を掛ければ生産コストは急上昇し、製造業の生産と雇用は低下する可能性が高い。 米国の関税は報復関税を招く