これでは逃げ得ではないのかーー。長い裁判の末に勝ち取った勝訴判決。しかし、裁判所がどれだけ高額の賠償金を命じても、実際に払われるかどうかは分からない。相手が支払わなかったとしても罰則はないし、強制執行にも限界があるからだ。 日弁連が2015年に行ったアンケート調査では、殺人などの重大犯罪について、賠償金や示談金を満額受け取ったという回答はゼロ。6割の事件では、被害者側への支払いが一切なかったというデータもある。離婚の際、子どもの養育費について取り決めたのに、約束が果たされないというのもよく聞く話だ。 このほか、2ちゃんねるの創設者・ひろゆき氏は今年5月、AbemaTVの番組「エゴサーチTV」の中で、「(命令に従わない場合は)1日5万円払えっていう判決が出たりするんですよ。面倒臭いから放っておくと、1日5万円がすげー増えるんですよ。それが何件もあるから、累積で30億くらいいったと思うんですけ
東京弁護士会は10月11日、アディーレ法律事務所を業務停止2カ月、元代表の石丸幸人弁護士を業務停止3カ月にしたと発表した。事実と異なる宣伝を繰り返したことが理由で、宣伝の指示を石丸弁護士が出したと判断した。本店以外の85事務所も対象となり、計187人の弁護士に影響が及ぶという(9月18日現在)。 アディーレは2016年2月、「債務整理・過払い金返還請求」をめぐる広告について、消費者庁から広告禁止の措置命令を受けていた。東京弁護士会は、この広告が景品表示法に違反するとともに、日弁連の規定などにも抵触すると判断。「実際の取引条件よりも有利であると一般消費者を誤認させる」として、「極めて悪質な行為」「長期間にわたって多数回反復継続されている組織的な非行」と強く批判している。 なお、依頼者の希望があれば、一度契約を解除した上で、元の弁護士が個人として業務を引き継ぐことも可能だという。 弁護士会の懲
日本郵便の契約社員3人が、正社員に支払われている各種手当が契約社員に支払われないのは労働契約法違反にあたるとして、日本郵便に計738万円の支払いを求めていた訴訟で、東京地裁は9月14日、日本郵便に計約92万円の支払いを命じる判決を言い渡した。 労働契約法20条では、正社員と契約社員の待遇差について、「不合理と認められるものであってはならない」としており、原告側は、正社員と同様の業務に携わっているにもかかわらず、年末年始勤務手当や早出勤務手当、住居手当などの各種手当が支払われていないことや、病気休暇などの各種休暇がないことについて、違法であると主張していた。 判決では、年末年始勤務手当と住居手当の損害賠償を認め、夏季冬季休暇、病気休暇が契約社員に与えらえないことは、不合理な取り扱いにあたり、不法行為が成立すると判断した。 賞与など否定された部分もあるが、弁護団は「これまでの消極的な司法判断の
「人材派遣のリンクトブレインは、顧客企業の従業員を部門やプロジェクト単位で転籍させ、派遣社員として元の職場に送り込むサービスを始める」。日本経済新聞が8月5日、このように報じた。 日経新聞の記事によると、正社員や契約社員、アルバイトなど、従業員の同意を取ることを前提として、1社につき最大100人規模の転籍を想定しているという。転籍した従業員は派遣社員として、従来通りの仕事内容・同額の給与で働くことが保証されるという仕組みだという。 また、「人材会社が人事管理や教育を受託する米国のPEO(共同雇用)制度を参考にした」とも書かれている。だが、ネット上では「法律上の問題がある」といった指摘もあがっている。 リンクトブレインはホームページで「『日本版PEO』の可能性について、働き方の多様性の観点から検討中であることは事実」としながらも、「法的問題や従業員への倫理的配慮の問題など、議論を行っている段
「一言で言うと、奴隷制度とか、人身御供システム」。大手コンビニの法務部に勤めていた男性は、コンビニのフランチャイズ(FC)システムについてこう言い切った。 「(仕入れ費用を貸し付けるなどして)借金漬けにするんだよね」「加盟店の人で契約書の中身を理解して入っている人なんて、99%いないですね」 これは、このほど完成した土屋トカチ監督のドキュメンタリー映画『コンビニの秘密 ―便利で快適な暮らしの裏で』の一幕だ。 作中では、長時間労働で両親を亡くした2代目や、近隣に系列店を出されたコンビニオーナー、自腹購入を強いられたアルバイトなど、多くの関係者に取材し、コンビニの9割を占めるというFC店の裏側に迫っている。 学校教材としても使えるように作った39分の映像。土屋監督は「コンビニが最初のアルバイトになる人も多い。たくさんの人にコンビニ本部がやっていることはおかしいと認識してもらいたい」と話している
2014年に起きたベネッセコーポレーションの顧客情報流出事件。総件数は2895万件にも達し、お詫びの金券(500円)の支払いなどで、同社に巨額の損失が発生したが、さらに打撃を受ける可能性を秘めた裁判が新展開を迎えた。 個人情報が漏れたとして顧客の男性がベネッセ側に10万円の損害賠償を求めた訴訟で、最高裁で9月29日に上告審弁論が開かれることになったのだ。2審の大阪高裁では男性が敗訴したが、その判決が見直される可能性が高くなった。 現在、3500人以上の集団訴訟が進んでおり、その裁判の判断への影響も考えられるほか、新たな動きが生まれる可能性もある。今回の訴訟の原告代理人の金田万作弁護士は、「情報漏えいしてもお詫びは1人500円程度というのが一般的になっている。これが5000円や1万円となってくると、個人情報を機密情報並みにより一層保護したりそもそも不要な個人情報は所持しないという動きが出てく
「トヨタが裁量労働を拡大」ーー。7月2日に日本経済新聞などが報じたニュースに対し、労働問題にくわしい弁護士から疑問の声が上がっている。実態は「固定残業代制」などを組み合わせたものなのに、法律で定められた「裁量労働制」と誤解を招く表現になっているからだ。 政府は秋の臨時国会で、裁量労働制(企画業務型)の拡大などを盛り込んだ、労働基準法の改正を目指している。これに対し、労働組合などは「残業代ゼロ法案」と反対している。 ブラック企業被害対策弁護団代表の佐々木亮弁護士は、「マスコミは、一般の言葉として『裁量労働』を使ったのかもしれませんが、法律上の制度に『裁量労働』がある。報道はミスリードだと思います」と、不信感を露わにしている。 ●トヨタは「裁量労働制ではありません」とコメント このニュースは、トヨタが今年12月を目標に、社員の働き方の自由度を高める施策を検討しているというもの。 具体的には、総
ある日、突然、身の覚えのない「殺人犯」と名指しされたことから、お笑い芸人・スマイリーキクチさんの人生は一変した。最初の書き込みは、1999年のこと。仕事が軌道に乗りはじめた頃だった。まさか、この日から10年にわたって、格闘が続くとは思わなかったという。 キクチさんが突然、事実無根の「殺人犯」にされた事件とは、1988年〜1989年に東京・足立区で発生した「女子高生コンクリート詰め殺人事件」のこと。全く無関係であるのにもかかわらず、2ちゃんねるや個人ブログ、Yahoo!知恵袋などに書き込みは続き、ようやく2009年になって、書き込んだ19人が摘発された。2011年には、10年間の戦いをまとめた「突然、僕は殺人犯にされた」(竹書房)を出版している。 しかし今もなお、殺害予告、中傷はやまない。いまだに事件との関連を示す「根も葉もない情報」はネット上に漂い、殺害予告は、1年に1度くらいはあるそうだ
過酷な労働のために「躁うつ病」を発症して退職したところ、会社から約1200万円の損害賠償を求める訴訟を起こされて精神的苦痛を受けたとして、IT企業で働いていた20代男性が、会社を相手取って、損害賠償を求めた裁判の判決が3月30日、横浜地裁であった。横浜地裁は、会社側の請求をすべて棄却。男性に対して110万円を支払うよう命じた。 男性の代理人をつとめた嶋崎量弁護士によると、男性は2014年4月にIT企業「プロシード」(神奈川県)に入社。劣悪な職場環境のもとで、精神疾患(躁うつ病)を発症し、同年12月に退職した。 ところが、男性は、会社から「ウソの病気で、会社を欺いて一方的に退社した」として、約1200万円の損害賠償を求める訴訟を起こされた。この提訴によって、症状が悪化するなど、精神的苦痛を受けたとして、反対に損害賠償を求めて提訴していた。 判決を受けて、男性は代理人を通じて「この判決で、裁判
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く