自閉スペクトラム症(ASD)には,感覚過敏,表情の読み取りの困難などの特性が知られる。一方で,色の知覚認知特性については未だ分からないことも多い。本研究では,ASD児童の色の知覚認知特性を明らかにするため,ASD児童はどの色を好むのかについて検証することを目的とした。ASDの診断のある児童8名(男児:4名,女児:4名)が本研究に参加した。調査は質問紙を児童の保護者へ郵送し,自宅で回答する形で実施した。質問紙には,5色(赤,黄,緑,青,茶)のカラーチップが添付され,児童は1色ずつその色を見て,どのくらい好きかを5段階のうち1つを選択することで回答した。その結果,ASD児童のうち70 %以上は青を最も好み,続いて約60 %の児童が緑を好むことが分かった。半数近くの児童は赤,黄,茶の好みを「ふつう」と評価したが,茶のスコアは全体的に最も低くなった。この結果から,ASD児童は青や緑などの寒色系の色