東京電力は戦時中に、戦時体制に備えて政府がコントロールしやすいという名目で地域ごとにいくつかの独占事業体を構築する中で生まれた。独占事業体の特徴というのは、簡単にいうと消費者にとってムダが発生しやすいことだ。例えば電気料金は、自由競争のケースに比べて、割高になる。なのでいろんな仕組みで、政府は独占的な電力会社の電気料金を制御していくことになる。ただしどうしても完全に行われることが難しい。 そこで独占事業体の多くにはムダがわりと広範に観察できる。東京電力もその例のひとつのようである。東京都副知事でまた作家の猪瀬直樹さんは、東京電力の「天下り」を指摘し、そこにムダが発生している事実を追求している(「東京電力「天下り全リスト」公開『週刊文春』4月26日号」。この記事は、道路公団民営化やまた『日本国の研究』などで特殊法人の暗部にいち早く、そして最も深く切り込んだ猪瀬さんらしい徹底した取材である。資