ちょっと前に福田徳三研究会で、馬場啓之助『資本主義の逆説』(1974、東洋経済新報社)の話題が出たのでその読書メモなど。 馬場啓之助は一橋大学名誉教授だった人。彼の書いた『マーシャル』や『近代経済学史』は便利。特に後者は、オーストリア資本論、スラッファからの独占的競争理論の歴史の俯瞰に優れて類書が日本ではいまだにない名著。『資本主義の逆説』は中央労働委員会の公益委員の経験を踏まえ、資本主義の変貌について書いたもの。特に前半の議論は今日でも示唆に富む優れた内容。以下は網羅的ではなく、自分のためだけのメモ。 1 「資本主義の変貌を「資本主義から労働主義への移行」に注目」(1頁)。「労働主義への平和的移行は経済思想史にとってはまことに重大な問題を提起しているわけです」(7頁)。 2 マルクス&ジョーン・ロビンソンの資本主義崩壊論。ウェッブ夫妻のコモン・ライフの社会観&ナショナルミニマムの政策観。