2007年に韓国空軍のF-15Kが基地内を移動中にマンホールに脚を突っ込んだ事故です。これは韓国軍のお粗末な状況を示す例としてよくネットで挙げられています。ところが、この記事中にある「事故を起こしたF-15」の写真ですが、これはどう見ても韓国軍が持っているF-15Kでありません。 この写真は米空軍が保有するF-15の脚がトラブった写真なのですが……。韓国を馬鹿にする記事で、まさかのアメリカを馬鹿にする記事。天下の産経新聞が、ネットで見つけた韓国話に付いてた写真を裏取りもせずに紙面に載せるほどお粗末だとも思えないので、実は韓国軍をバカにするつもりで米軍をコケにしたいという、岡田敏彦記者の高度な深謀遠慮が働いているのかもしれません。 さて、産経新聞の仰るとおり、韓国空軍が高価な戦闘機の脚をマンホールに突っ込ませたのは、実にお粗末な事故です。ただ、機体の損傷は軽微なレベルで、事故としての程度は重
というエントリをDavid Glasnerが書いている(原題は「Who’s Afraid of Say’s Law?」;H/T クルーグマン)。 そこでGlasnerは、セーの法則が、同法則を攻撃したケインズの意図とは裏腹に、ケインズ経済学における乗数効果の供給側からの表現になっている可能性を指摘している。ただし、ここで言うセーの法則は、オスカル・ランゲが貨幣抜きのワルラス則として再定義したもので、元の法則と区別してセーの原理と呼ぶべきかもしれない、ともGlasnerは書いている。 Glasnerによると、ランゲ版のセーの法則とケインズ経済学の乗数効果の同一性に気付き、それをセーの原理と言い換えたのは、クラワーとレイヨンフーブットだという。両者は、ランゲ版のセーの法則では、均衡価格でのみ取引が起こることを前提にしていることを問題視した。以下はGlasnerの説明。 The insight
昨日、日本の最低賃金率が世界的に低い水準にあることを書きましたが、そのとき平均(中位)の賃金率に対する割合で40%を大きく切っている図を示しました。 ところが、通常、(相対的)貧困の指標として平均の50%以下という基準が利用されていることはよく知られています。つまり、日本の最低賃金は貧困線以下に設定されているということになります。 これも前に書きましたが、たしかに旧来は夫が大黒柱として稼ぎ、妻がパート・バイトで家計を補充するというパターンが広まっており、この家計補充型では問題が少なかったことは間違いないと思います。しかし、男女間のあるべき関係、社会的公正・正義の立場からは大いに問題がありました。また。また近年、非正規雇用者が増加してくるとともに問題はかなり深刻になってきました。 日本の政治家、それに国民自身の多くがこの問題に消極的にしか取り組んでこなかったことをきわめて残念に思います。 ち
イギリスでは、1979年に政権についたM・サッチャー氏が露骨な反労働者的な(anti-labour)政策を取り、その一環として最低賃金制度を事実上崩壊させました。 いわゆる低賃金労働者が増えてきたのは、まさにこの頃からです。1990年代末にアメリカのRussell Foundationが資金を提供して欧米の経済学者に低賃金労働に関する調査を委託し、その結果が出版されていますが、それによれば、ブレアー労働党政権が1990年代に誕生してから、低賃金労働の比率は増加しなくなっているようです。しかし、低賃金労働が縮小したわけではありません。(Low Wage Work in the Wealthy World, Russell Foundation, 2006.) それでも、とにかく労働党政権の下で最低賃金制度が再導入されました。 その際、例によって反対陣営から最低賃金を設定すると、雇用が失われ失
日本の最低賃金は、いわゆる先進国でも最低の水準にあります。 第一に平均値(メディアン)に対する比率で最低の水準にあります。 第二に、絶対値(購買力平価)でスペインとポルトガルの水準を少し超える程度でしかありません。いま金融危機・財政危機で騒がれているギリシャより低い水準でしかありません。日本の政治家は、このような数値を公表されて恥ずかしくないのでしょうか? 日本の政治家(菅元首相、安倍現首相など)と言えば、その多くは口を開くといつもといってよいほど日本の法人税が高いから下げるべきだと主張します。この主張も問題です。確かに法人税率自体は高いかもしれませんが、例えばドイツの企業は社会保障費負担が日本の2倍くらいであり、企業の公的負担はドイツのほうがずっと高い水準にあります。 グローバル・スタンダードを主張する政治家は、すぐに公正な社会をつくるため、日本の最低賃金を引き上げるべく努力するべきです
しばしば人件費(賃金率)が高いと低賃金の国に企業が逃げるので、失業率が高くなるという脅しともとれる言説が流されることがありますが、現実の統計はそれとはまったく異なった状態を示しています。 EUROSTATの Statistical Atlas (統計地図)でそのことを確認してみましょう。 次のサイトで簡単に見られます。 http://ec.europa.eu/eurostat/statistical-atlas/gis/viewer/ ここから Labour market を選択し、次にUnemployment rate (失業率)または 時間賃金(Hourly Wage)を選択すれば、NUTS1〜NUTS3のいずれかの地域区分方法に応じた統計地図が見られます。 まず最初に失業率です。大まかにいうと、ドイツの失業率が一番低く、ついでフランスやイギリス、周辺部(スペイン、イタリア南部、ポルト
偉ぶらない語り口が酒井泰弘先生の魅力で、『ケインズは今なぜ必要か』(ケインズ学会編)に収められた講演も、そんなヒューマニティーが読み物として楽しいものにしている。もちろん、中身の方も経済の本質を考える上で、なかなか含蓄が深いものだ。今回は、先週に続き、長老による講演で「リスクの経済学」を堪能することにしよう。 …… 講演の白眉は、「ケインズ革命の本質は、確率統計で計量できるような「単なるリスク」の分析にあるのでは決してありません。それよりむしろ、もっと遥かに広く「蓋然性」や「不確実性」の概念を市場経済のワーキングにドッキングした所にあるのだ、ということです。」の部分だろう。その上で、ケインズの経済学の核心は、「不確実性」にあり、古典派的な経済学は、その問題を軽視ないし無視しているとしている。 リスク論の源流は、先生の指摘するとおり、F・ナイトによる「測定可能なリスク」と「測定不能な不確実性
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