使用するサービスをnoteに移行しました。noteアカウント(https://note.com/takeuchi_kazuto)をフォローして頂くようにお願い申し上げます。 斥候(patrol)という言葉を聞いたことがある人でも、それを正しく説明することは難しいでしょう。 しばしば誤解されていますが、斥候は必ずしも偵察だけを目標としません。時として斥候は戦うことを主眼とする場合があるのです。 今回は、戦闘斥候を中心に斥候について説明をしてみたいと思います。 戦闘斥候とは何か 一般に斥候とは本隊から独立して行動する1個分隊程度の小さな分遣隊のことですが、その任務は状況によってさまざまに変化します。例えば次のような任務を斥候は遂行する場合があります。 敵情、地形、もしくは地域住民に関する情報資料の収集すること。 敵の部隊との接触を回復すること、または味方の部隊の所在を確認すること。 敵を撃破し
使用するサービスをnoteに移行しました。noteアカウント(https://note.com/takeuchi_kazuto)をフォローして頂くようにお願い申し上げます。 17世紀イギリスの哲学者トマス・ホッブズが残した有名な言葉の一つに「万人の万人に対する戦争」があります。 現代ではこの言葉からホッブズが悲観的な人間観を持っていたことを示す言葉として理解されることも少なくありませんが、本来はホッブズの個人的な意見を述べたものではなく、政治理論の研究を目的とした思考実験用のモデルとして理解されるべきものです。 万人の万人に対する戦争とは 国家が樹立される以前の状態を「自然状態」としてモデル化することによって、そこで予想される様々な状況を考察することが可能となるのですが、ホッブズはある単純な想定を置くと、自然状態は「万人の万人に対する戦争」とならざるを得なくなることを考察したのです。 つま
使用するサービスをnoteに移行しました。noteアカウント(https://note.com/takeuchi_kazuto)をフォローして頂くようにお願い申し上げます。 今回は、社会学者マックス・ウェーバーの古代国家論と軍事制度の関係に関する議論を紹介したいと思います。 まず、古代の国家がどのように成立したのかという問題を研究するためには、都市の形成過程を考える必要がありました。なぜなら、古代国家の最も重要な形態は都市国家だったためです。 ウェーバーは最も初歩的な都市の形態として防壁を備えた家族共同体または村落を考えました(ウェーバー、57-58頁)。 このような国家の形態の下では軍人と市民の区分は必ずしも明確ではなく、ほとんど軍事制度は発達していません。 しかし、国家形態がさらに発達すると、軍人と市民の区分は身分としてより明確なものとなると考えられています。 ウェーバーの説によれば、
使用するサービスをnoteに移行しました。noteアカウント(https://note.com/takeuchi_kazuto)をフォローして頂くようにお願い申し上げます。 今回は、海上戦闘の結果を予測する方法について紹介したいと思います。 ある二つの艦隊が交戦した場合に、どちらにどの程度の損害が発生するのかを予測または説明するためには、少なくとも二種類のデータが必要となります。 一つは攻撃力に関するデータであり、具体的には艦対艦ミサイルをどれだけ搭載しているかによって判断することができます。もう一つが防御力に関するデータであり、これは艦隊防空能力にかかわるCIWSや艦対空ミサイルなどから判断することができます。 ここではあくまでも仮想の状況として、インド海軍の空母1隻(航空隊なし)を沈めるためにインド海軍の駆逐艦がどれだけ必要かを考えてみましょう(データはすべてMilitary Bala
安全保障学の文献、論文、概念、理論、学説などを紹介するブログです。 安全保障への理解と関心を高めて頂くために利用して頂ければ幸いです。 現場の指揮官が頭を悩ませる問題の一つは、部隊がこれ以上の戦闘が可能かどうか見極めることです。 一般に部隊の人的損害が30%に近づくと、これ以上の戦闘の継続が不可能だと判断すべきであるという考え方があります。 これは経験則に基づく大雑把な参考数値として広く知られていますが、戦闘の中断は戦術的に重要な意味を持つ決心であり、その適否によっては部隊の損害を不必要に増大させ、また撃破することができたはずの敵を逃す危険もあるため、より詳細な学問的な検証が必要でした。 今回は、歩兵大隊の観点から損害の比率と戦闘力の喪失の関係を研究した文献を紹介したいと思います。 文献情報 Clark, Dorothy K. 1954. Casualties as a Measure o
ある国の軍隊の強さは印象論的な方法で説明されることが多いと思いますが、先行研究ではより定量的な取扱い方で説明することも検討されています。 戦闘理論における戦闘効率値(Combat Effectiveness Values, CEV)は、部隊の質の高さを表す指標の一つであり、デュピュイ(Trevor N. Dupuy)の代表的な研究では次のように定義されています。(赤軍と青軍の二つの部隊が交戦する場合の定義です) 赤軍の戦闘効率値=(赤軍の戦果/青軍の戦果)/(赤軍の戦闘力/青軍の戦闘力) ここでは戦闘力質的要素は考慮しておらず、純粋な規模を表しています。また、戦果についても敵に対して与えた人的損害等から判定されているものです。 この定式で軍事力の効率を測定すると、どのようなことが分かるのでしょうか。 デュプイはこの定式を用いて第二次世界大戦における米軍、英軍、ドイツ軍の戦闘を分析したところ
使用するサービスをnoteに移行しました。noteアカウント(https://note.com/takeuchi_kazuto)をフォローして頂くようにお願い申し上げます。 どのような分野であれ、長い時間をかけて内容が分化、複雑化してきた学問の全体像を一言でまとめることは簡単なことではありません。 軍事学(Military Studies)もその例外ではなく、研究対象や方法論の多様さによって一概にその内容を特徴づけることはできなくなっています。 ある研究者は次のような説明で軍事学の研究領域を包括しようとしています。 「軍事学とは、戦争の研究や組織化された強制的な武力の理論とその応用とともに、軍事上の意思決定過程などの手続き、部隊や軍隊などの制度、そして戦時または平時における個人や部隊の行動に関する学問である」(Jordan, 2013: 880) また具体的な研究領域としては、以下のものが
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