産婦人科での内診では思い出があって、あれはまだ私が産婦人科医になる前の初期研修医だった頃。 子宮頸がんの末期の方がいて。その方は、腺がんという、やっかいなタイプで、元々は全国有数の施設に通院していた方だった。 彼女は最初に診断を受けた後、A病院に紹介された。いくつもの内診台が並んだ内診室で、股を開いたまま婦人科医の内診を待つ。 それが終わると、同じ病気の人を全員集めて治療の説明が始まった。 彼女は、自分が人として扱われていないと感じ、手術をキャンセルし、標準医療そのものから遠ざかってしまった。その後、信頼できる医療者と出会い、治療には結びついたが遅かった。それでも、自分のようなことを繰り返して欲しくないと医療者や学生向けに講演をしていた。 私が出会った頃、彼女の尿管はすでにがんに蝕まれていて、体の外から尿を出すための管を入れていたし、足は象のように浮腫んでいて、移動もままならなかった。管の