全日本空輸が、社員の賃金を平均10%引き下げる方針を労働組合に提示したことが5日、分かった。世界的な景気後退で航空需要が落ち込んだことによる業績悪化を受けたもので、本格的な人件費削減は平成16年以来、5年ぶり。21年度だけの限定措置だが、グループの全社員3万人を対象に、年間100億~200億円のコスト削減効果を見込む。 賃下げは各種手当を含めた年収の総額を対象とし、一般社員は約3%、管理職は15~20%程度を減額する。これにより、全体の人件費を10%削減する。また1月から20~30%削減している役員報酬も、減額幅の拡大を検討する。3月中旬の妥結を目指し労組と交渉を進める。 全日空は航空需要の急速な落ち込みで、21年3月期の連結最終損益は、90億円の赤字(前期は641億円の黒字)と6期ぶりの赤字に転落する見通し。過去には、米同時多発テロの影響などで収益が落ち込んだ15、16年に、管理職の賃金