黒いトランク (創元推理文庫) 作者:鮎川 哲也 東京創元社 Amazon 昨年のゴールデンウィークにクロフツの『樽』を読んだので、今年のゴールデンウィークは『黒いトランク』を読もうと少し前から決めていました。 古典物だから、もしかしたら退屈かもな…なんて思いは読み出してすぐに消え失せました。 導入部分から既に本格推理小説の雰囲気が感じられ、あっという間に夢中になっていました。 当時の東京の情景も、先日丁度放送されていたブラタモリの鉄道特集の回も重なり、史料としても面白かったです。 さて表題の通り黒いトランクに纏わるアリバイトリック崩しが本作の一番の見所だとは思いますが、これが『樽』以上に複雑です。 『樽』を更に立体的に仕上げたようなこのトリックは素晴らしいんじゃないでしょうか。 作中でも解説でも『樽』の話が出てきますが、これはオリジナルと言えるでしょうし、『樽』よりも見事なトリックとトリ