東日本大震災の被災地で、学びの場の復興が遅れている。子どもたちが仮設の校舎で授業を受けたり、被災した人たちが校庭に立つプレハブ仮設住宅で暮らしたり。子ども同士、子どもと被災者が互いを思いやる生活が続くなか、子どもたちの運動不足も課題になっている。 津波で校舎が被災した宮城県石巻市立渡波(わたのは)中学校の生徒335人は市内の小学校の校庭に立つ2階建てのプレハブ仮設校舎で学ぶ。 「バーン」。2月のある日。理科の小テストを受ける3年生の教室に大きな音が響いた。薄い壁をへだてて隣は「柔道室」。1年生たちが一斉に受け身をとる音だ。 テストを受けていた加藤ゆりあさん(15)は「音はたまに気になる。先生の話が聞こえにくい」。はす向かいの「技術・美術室」からは、金づちでたたく音が聞こえることもある。 悩みは音だけではない。 元の校舎の広さは5772平方…