大手ユーザー企業で、マルチベンダーによるシステム開発・運用体制の維持に黄色信号が点り始めたようだ。力のある情報システム部門がマルチベンダー体制を採るのは、高品質のSI/運用サービスをできるだけ低コストで調達することに尽きる。ところが、昨年あたりから雲行きが怪しくなった。競わせるはずのITベンダーがベタ降りして、提案段階で競合状態にならないケースも増えてきたという。 この現象、ITベンダーから見れば簡単に解釈できる。いわゆる選別受注の“成果”である。少し前の大赤字プロジェクト続発に懲りたITベンダーは、今やプロジェクトの採算性を厳密に管理している。その結果、“不良ユーザー”との取引はもちろん、先進ユーザーとの取引でも「降りる」という選択肢が増えてきた。むしろ先進ユーザーを相手にする方が、リスクが高まるケースが多いからだ。 大手の先進ユーザー企業の案件は当然、大型案件が多い。しかも、こうしたユ