文楽協会への補助金凍結を表明している大阪市の橋下徹市長は26日夜、国立文楽劇場(大阪市中央区)で文楽の古典「曽根崎心中」(近松門左衛門作)を鑑賞した。橋下市長は鑑賞後、記者団に「古典として守るべき芸だということは分かったが、新規のファンを広げるためには台本が古すぎる」と苦言を呈し、演出方法を現代風にアレンジするなどの工夫を求めた。 橋下市長は大阪府知事だった09年に初めて鑑賞した際、「二度と見にいかない」と酷評した。この日は、「もう一度古典を見たい」と鑑賞した。 市は今年度の補正予算案で、文楽協会への補助金を昨年度比25%減の3900万円計上。橋下市長は技芸員(演者)が公開での面談に応じなければ補助金を支出しないとの考えを表明し、非公開での面談を求める協会側とのすれ違いが続いていた。この日は、鑑賞後に技芸員の楽屋も訪れ、非公開で懇談。公開での面談を改めて要望したという。【津久井達】
原発事故で被ばくを恐れ福島県から避難してきた子供が「放射能怖い」と偏見を持たれるケースがあるとして、千葉県船橋市教委が全市立小中学校長らに配慮するよう異例の指導を行っていたことが分かった。福島県南相馬市から船橋市へ避難した小学生の兄弟の事例では、公園で遊んでいると地元の子供から露骨に避けられたという。兄弟は深く傷つき、両親らは別の場所へ再び避難した。大震災から1カ月たつが、福島第1原発の深刻な事態が収まる見通しは立っていない。知識の欠如に基づく差別や偏見が広がることを専門家は懸念している。【味澤由妃】 南相馬市の小学生の兄弟のケースは、避難者の受け入れ活動に熱心な船橋市議の一人が把握し、市教委に指摘した。市議によると兄弟は小5と小1で、両親と祖父母の6人で震災直後船橋市内の親類宅に身を寄せ、4月に市内の小学校に転校、入学する予定だった。 兄弟は3月中旬、市内の公園で遊んでいると、方言を耳に
細菌や化学物質、放射性物質など、科学技術の成果を誤用・悪用した事件や事故が、過去80年間に国内で500件以上起きていることが、科学技術振興機構社会技術研究開発センター(東京)の調査で分かった。研究者自身が起こすケースも少なくないことから、センターはこれらをデータベース化し、倫理教育などに活用する方針だ。 1927年から現在までの新聞記事や白書、警察発表資料、論文などを対象に、CBRNE(シーバーン)と呼ばれる化学物質や放射性物質の悪用・誤用に絡む出来事を抽出。その結果、該当するケースは昨年10月20日現在で計546件あった。物質別内訳は▽化学剤129件▽生物剤・毒物37件▽核・放射性物質85件▽爆発物295件だった。 オウム真理教事件(93~95年)は、医師や研究者志望の大学院生らが生物兵器やサリンなどの化学兵器を作り、死者22人を含む6000人以上が被害を受けた。医師が職場の電気ポットに
◇「内向き学生」後押し、効果は? 留学に消極的といわれる若者の「内向き志向」を打破しようと、文部科学省は従来の短期留学制度(3カ月~1年間)より短い間、大学生を海外派遣する「ショートビジット(短期滞在)」制度を来年度から始める。「お試し留学」で外国の魅力を感じてもらい、本格的な留学への呼び水にする狙い。初年度7000人の派遣を目指し、来年度予算の概算要求に17億円を盛り込む。【山田大輔】 文科省によると、大学生の海外留学は99年ごろまで増加傾向だったが、その後は年間8万人前後で頭打ち。最も人気のある米国でも08年に04年の3割減だった。 最新の科学技術白書は、海外経験のある研究者ほど国際的な共同研究や論文の共同執筆など、研究の生産性が高く、内向き志向は日本の競争力を損なう恐れがあると指摘。政府は新成長戦略で「20年に日本人学生の海外交流30万人」を掲げた。 現行の1年以上の留学制度には、定
光によって電子の振る舞いが変わる現象(光電効果)をアインシュタインが解明したのは1905年。1世紀のちに生きる私たちは、デジタルカメラや発光ダイオードなど、これを応用した文明の利器を使っている。 科学の成果が技術に使われ、生活が便利になる--という発想から、日本では科学と技術を一くくりでとらえてきた。科学技術基本法、科学技術予算などがいい例だ。 双子のように並び称される両者を「・」で区別しようという主張が科学者の間で強まっている。国の総合科学技術会議では、資料に「科学・技術」の表記を取り入れ始めた。「科学技術と書いた場合、文法的には科学は技術の修飾語扱いで、技術が主役であるような印象を与える。同格の言葉を併記するなら『・』を入れるべきです」と、有識者議員の一人、金沢一郎日本学術会議会長は説明する。 「・」問題の背景には、事業仕分けに象徴される成果主義の風潮に、基礎科学の研究者たちが危機感を
ミカンに「ありがとう」「死ね」と話し掛け、変化の有無を観察する「言霊(ことだま)大実験」が昨秋、県南地域の中学校であった。言葉の大切さを考える道徳学習だという。 対象はビンに入れた3個のミカン。約2カ月後、生徒から悪い意味の言葉を掛けられた方が腐り始めた。良い言葉の方は変化なし。発案した教諭、そして多くの生徒が「言葉が伝わったのでは」と思ったという。 言霊とは、言葉が霊的な力を持つという信仰だ。そして人は、古くから森羅万象に魂が宿ると信じてきた。位田晴久・宮崎大学教授(野菜園芸学)は「園芸作物を育て、心の癒やしや安らぎを得る効果は間違いなくある。若い世代が事実の検証を重ねて不思議な現象を明らかにすることに期待したい」としたうえで、「植物に人間の言葉の持つ意味を理解する器官は確認されておらず、現時点で真理として教えるのは適切ではない」と指摘する。 大阪大の菊池誠教授(物理学)も「ミカンはただ
雨降れば雨に放射能雪積めば雪にもありといふ世をいかに 湯川秀樹はこの歌を、米国の水爆実験(1954年3月1日)の後に詠んだ。ノーベル賞受賞後は核兵器廃絶運動に取り組み、激しさを増す核開発競争を批判した。 太平洋上での実験は予想以上の破壊力を示し、操業中の「第五福竜丸」の乗組員23人が「死の灰」を浴びた。日本は広島、長崎に続いて三たび核兵器を経験している。 そして今月、北朝鮮が地下核実験を実施した。「成功」を伝える発表文は「科学者、技術者らの要求に従い」と始まる。作っては試し、改良してまた試す。こうした試行錯誤なしに科学の発展はない。だが、科学者たちは結果の深刻さについて一度でも想像したことがあるだろうか。そう考えたらむなしくなった。 戦時中、米国で原爆開発計画に参加した科学者の回想録(「原爆をつくった科学者たち」岩波書店)。巨額の金を使って刺激的な先端研究ができる喜びと、世界初の核実験を成
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