ロシアのプーチン大統領が「今回の作戦はウクライナ政権に虐殺されてきた人々を保護する目的だ」と見え見えの嘘で軍事侵攻したのは、どうせアメリカのバイデン政権は動けないと見透かしていたからだ。その背後には「あの男」がいた──。アメリカ現地から高濱賛氏(在米ジャーナリスト)がレポートする。 * * * 今回の軍事侵攻を「崖っぷち戦略」などと報じる欧米や日本のメディアはプーチン大統領の真意を読み違えている。実は「かねてから用意周到に練られたNATO(北大西洋条約機構)拡大阻止の一環」(キャサリン・ストーナー・スタンフォード大学教授)だからだ。 プーチン氏の強気の理由は2つある。まず、反米感情が高まる国内で、同氏の「大ロシア」(ソビエト連邦)への回帰志向に大衆が異議を申し立てるわけがない。最近の世論調査では、年金問題や物価高でプーチン氏の支持率は下がっていたから、外敵を叩いて愛国心を鼓舞する判断は理に
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