日本国内の市場が縮小する中、世界の列強に対抗していける国際競争力の強化を目指した“理想論”は、あえなくついえた。キリンホールディングスとサントリーホールディングスの統合交渉は、統合比率やサントリー創業家の権利など、やっかいな課題を克服できないまま決裂。日本の食品業界を代表する両社の迷走ぶりは、業界再編の困難さを改めて浮き彫りにした。 統合交渉には、最初から暗雲がたれこめていた。 「もう会わん。交渉はやめや。これで、やめや」 統合交渉が本格化した昨年11月下旬。キリンの加藤壹康社長と都内で会談したサントリーの佐治信忠社長は、キリンが提示した統合比率の提案に激怒した。キリンが提示し統合比率はキリン1に対しサントリー0.5強だった。 「統合比率が半分とはサントリーと社員をばかにしている。サントリーはそんな軽い会社ではない」。佐治社長は、会談の席を立った。統合交渉は一転、破談へと“歯車”が動き出す