鹿児島県南九州市で、世界でも珍しいタツノオトシゴの養殖が行われている。 漢方薬の原料や安産の縁起物として珍重されてきたが、乱獲で激減。野生動植物の国際取引を規制するワシントン条約で輸出に条件が課せられるなど、絶滅の恐れが指摘されている。養殖施設を運営する「シーホースウェイズ」の代表、加藤紳さん(37)は「養殖で、天然ものの乱獲に歯止めがかかれば」と話している。 タツノオトシゴは、暖かい海に棲(す)むヨウジウオ科の魚。東シナ海に面した同市頴(え)娃(い)町のレストラン跡にある養殖場の水槽で大小のタツノオトシゴがゆらゆらと泳いでいる。 「ここでは約5000匹が暮らしています」 大学で海洋学を専攻した加藤さんは海洋調査会社を退職後、ニュージーランドでタツノオトシゴの魅力にとりつかれ、養殖に適した場所を探し求め、頴娃町にたどり着いた。 タツノオトシゴは、成魚になるまで1〜2年かかる。小さなエビの仲