ポール・クルーグマン米ニューヨーク市立大教授(左手前)は、安倍晋三首相(右から2人目)に増税先送りを提言した=首相官邸で2016年3月22日、竹内紀臣撮影 安倍晋三首相が来年4月の消費税増税を再延期する意向を固めたことで、財政健全化への道のりは一層遠のく可能性が高まった。財源不足による社会保障政策への影響も懸念され、安倍政権は説明責任を求められそうだ。【井出晋平】 政府は、政策経費を借金に頼らずにどれだけ賄えているかを示す基礎的財政収支(プライマリーバランス=PB)を、2020年度に黒字化する目標を掲げている。また、中間目標として18年度にPB赤字を国内総生産(GDP)比で1%程度に縮小させる方針だ。 内閣府の試算によると、名目GDPの成長率が平均3%以上の高い成長を実現したうえで、来年4月に予定通り8%から10%に増税したとしても、20年度には依然6・5兆円のPB赤字が残る見通しだ。政府