イタリアを拠点に活動しているロレンツォ・セニ。彼の名を広く知らしめるキッカケとなったのは、2012年に発表されたアルバム『Quantum Jelly』だ。オーストリアのEditions Megoからリリースされたこの作品で、点描的トランス(Pointillistic Trance)と形容される現在の方向性が初めて示された。ほぼ一発録りで、編集もほとんどおこなわずに作られたというそれは、トランスのきらびやかで高揚感あふれるシンセ・サウンドを、ミニマル・ミュージックのフォーマットで解釈するというぶっとんだ代物。ビートはなく、わかりやすい起伏もないトラック群だが、すべての曲が不気味なハイ・テンションで包まれている。 こうした方向性に手応えを感じたのか、彼は2014年のアルバム『Superimpositions』でも点描的トランスを追究した。よりクリアになった音像と、ダブステップ以降のベース・ミュ