武田薬品工業が販売する降圧剤の宣伝広告に使われた臨床研究のグラフが、同じ研究を基に発表された論文中のグラフと異なっているとの指摘を、京都大病院循環器内科の由井芳樹医師が27日までに米医学誌に発表した。同社の薬の、病気の発症を抑える力が強く見えるという。 由井医師は「同じデータを使ったのにグラフが複数あるのは不自然。原因を調査すべきだ」としている。武田薬品の広報担当者は「データの解析に関わっておらず、どちらが正しいかコメントのしようがない」と話している。 研究は京都大のほか大阪大、慶応大などでつくったチームが平成13~17年に実施。高血圧症の患者約4700人を武田薬品のブロプレス(一般名カンデサルタン)を飲む集団と別の薬の集団に分け、脳や心臓などの病気の発症を比べた。 結果として二つの薬の効果に統計上、意味のある差はなかった。だが由井医師はこの結論は導いた統計手法に問題があると指摘。