中学校の理科の授業で行われる硫化水素を発生させる実験で、複数の生徒が気分不良を訴えて救急搬送される事案が全国で相次いでいる。文部科学省は事態を重く見て、すべての都道府県教育委員会に対し十分な換気など安全に配慮するよう改めて注意を呼びかけるが、搬送事案が多発する背景に何があるのか? 「生徒が理科の実験後に気分不良を訴えている」。福岡県筑前町の町立中で今月8日、硫化鉄に塩酸を加えて硫化水素を発生させる実験をしていた2年生のクラスで、複数の生徒が寒気や頭痛の症状を訴え、学校が119番した。クラスの半数近い16人が病院に運ばれ、いずれも軽症だった。 毎日新聞の取材では、硫化水素を発生させる実験で生徒が搬送される事例は、5~6月に少なくとも秋田▽茨城▽愛知▽福岡▽埼玉――の5県で7件が確認され計71人が搬送された。搬送事案が相次いだことを受け、文科省は13日、すべての都道府県教委が集まる会議の中で、