本日、「佐伯博士の刑法思想と『日本法理』」と題するかなり長い論文の校正刷りが、出版社から送られて来ました。この論稿は、「判例時報」という雑誌の10月21日号以降、3回に分けて連載される予定になっています。 原稿の校正作業は、いよいよ公刊されるという緊張感を伴いながらも、執筆者としては自分の原稿を再確認するという仕事には心が弾むものです。今回も、すぐに着手して、3回分を全部、一気に見てしまいました。不満や後悔の残るところもありますが、印刷されてしまえば、大きな変更は不可能で、あきらめざるを得ません。 ただ、今回の原稿は、佐伯博士の戦前の「日本法理」にかかわる部分を主題にしていますので、これまでほとんど意識的に引用されてこなかった一種の「タブー」に正面から触れることになるという意味で、特別の緊張感を味わいました。本来はリベラルな佐伯先生が、なぜ「日本法理」を通じて、戦前の国家主義的で全体主義的