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ブックマーク / machida77.hatenadiary.jp (5)

  • クライマー事件の概要(5) - 火薬と鋼

    "クライマー事件の概要(4) - 火薬と鋼"→ ひとまずこの事件についての一連のエントリは今回で終わる。 ここまでの流れで、図書館は迷惑行為やその対応を規則で定めて行動しても、その規則内容や執行が問題になることが分かったと思う。それは、図書館の自由や権利といった基理念にまで関わる問題であると同時に規則が恣意的に使われる/使われない可能性があるということなのだ。翻って日図書館で迷惑行為に及んだ利用者を退去させるとしたら、その判断の根拠はどうなるだろう。根拠はその場その場の職員の主観しかない。日のほとんどの図書館は利用者の行為に対して成文化された、図書館内で統一をとった合理的な判断基準など持ち合わせていないのである。 アメリカ図書館協会の対応 地裁判決後、アメリカ図書館協会(American Library Association, ALA)は、モリスタウン図書館側から控訴裁のための準

    クライマー事件の概要(5) - 火薬と鋼
    nornsaffectio
    nornsaffectio 2008/09/09
    サローキン判決のリーディングケースとしての価値は疑い得ないが、個別の紛争の落とし所を探る作業は数多の困難を抱えて始まったばかり。まして判例法理未確立の日本。
  • クライマー事件の概要(4) - 火薬と鋼

    "クライマー事件の概要(3) - 火薬と鋼"→ 事件の終結。 連邦控訴裁判判決(第二審 第3巡回区判決) 1992年3月23日、第3巡回区は判決を下した。 伝統的パブリックフォーラムとの判断の否定: 公共図書館は情報や思想を受け取る権利を行使する点で質的な意義を持つが、伝統的パブリックフォーラムとするのは無理がある。静かで平穏でなければならない。演説を始め伝統的な表現活動は許されない。公共図書館は制限的パブリックフォーラムである。 モリスタウン公共図書館の性質: モリスタウンには公共図書館の設置義務はなく、モリスタウンは「文字コミュニケーション」という特定の目的のために図書館を設置した。 制限的パブリックフォーラムとして: 特定の目的を意図した制限的パブリックフォーラムはあらゆる人々に公開する必要はない。図書館の目的や性格と一致した権利や制限的パブリックフォーラムと規定した行政の意図に沿

    クライマー事件の概要(4) - 火薬と鋼
    nornsaffectio
    nornsaffectio 2008/09/06
    伝統的か制限的か、パブリック・フォーラムとしての性質を掘り下げるまでには到っていないわけだ。
  • クライマー事件の概要(3) - 火薬と鋼

    "クライマー事件の概要(2) - 火薬と鋼"→ 地裁判決が出るまでにモリスタウン図書館側は、ホームレスの人権問題ではなく、一利用者の行動の問題であると主張した。一方、クライマー側は憲法上の人権の問題、ホームレスの差別の問題とした。現代日図書館ホームレスの問題でも同様のコメントをする人が何人もいる。しかしそれは議論の始まりの一つであって、終わりではない。この二つの峻別によって議論の余地がないとしている人は、実は18年前の出発点にようやく立ったに過ぎないのである。 連邦地方裁判所判決(第一審 サローキン判決) 図書館の申し立てにより、この裁判は事実関係を争うものではなく、図書館の当該規則の法的効力、特に修正第1条*1から見て合憲であるかどうかを巡る争いとなった。これにより、裁判でクライマーの行動は扱われておらず、判決を構成する要素にもなっていない。普通の事件を追った記事や書籍と異なり、ク

    クライマー事件の概要(3) - 火薬と鋼
    nornsaffectio
    nornsaffectio 2008/09/06
    公共図書館がパブリック・フォーラムと確認された意義は大きい。
  • クライマー事件の概要(2) - 火薬と鋼

    "クライマー事件の概要(1) - 火薬と鋼"→ クライマー事件について、裁判に至る経緯から結果まではhttp://neinast.home.att.net/cases/kreimer.htmでほぼ全ての情報を知ることができる。大学生以上の英語力の持ち主で、この問題について詳細を知りたい場合には私の拙い概要よりこちらがお勧めだ。日語の書籍だと川崎良孝『図書館裁判を考える―アメリカ公立図書館の基的性格』(日図書館協会)が最も詳しい。あまり流通していないので図書館で借りるか古書を探すことになると思うが。 裁判に至るまで ニューヨーク市近郊にある人口1万7千人の町モリスタウンの公共図書館では、近くの教会でホームレスへの炊き出しが行われていた。1987年頃から利用者によるホームレスへの批判が高まり、中でもRichard R. Kreimerの行動が焦点となった。クライマーは図書館の常連で、利用

    クライマー事件の概要(2) - 火薬と鋼
    nornsaffectio
    nornsaffectio 2008/09/03
    図書館規則も準法規的存在として、明確性を要求されるわけね。原則じたいは争いがなさそうだけど、実際の運用は如何に、という話か。
  • クライマー事件の概要(1) - 火薬と鋼

    図書館ホームレス問題の先行事例について - 火薬と鋼に書いたクライマー事件に関して、案外Webではちゃんと紹介しているところがないので概要を書いておこうと思う。 この問題に限った話ではないが、ブログやニュースで採り上げられる図書館関係の問題は、だいたい過去に似た事例があったり先行研究があったりする。特に図書館関係のブログ書いてる人間は、もっと文献を提示すべきだと思う。大学で先行研究をよく調べろと教わらなかったか?先人の蓄積を無駄にするな。 背景 1980年代、アメリカではレーガン政権下でホームレスの増加が問題となっていた。ホームレス支援法(McKinney–Vento Homeless Assistance Act - Wikipedia)もこの時代に生まれている。図書館界でもこうした状況を反映して公共図書館におけるホームレスを対象とした活動や研究が進むようになっていった。例えばSimm

    クライマー事件の概要(1) - 火薬と鋼
    nornsaffectio
    nornsaffectio 2008/09/03
    公共の福祉に基づく自由権制約の問題。基本ですね。
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